震度

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地震 における 震度 (しんど)とは、 地震動 の?さを表す尺度を言う。工?的震度という場合、主に地震動の 加速度 を言う。

工?的震度 [ 編集 ]

地震動の?さを表す尺度として ?象?震度階級 は便利なもので一般にも?く普及しているが、?初は個人の主?に?って階級判?されていたこともあり、客?性のある尺度としては不十分なものであった。そのため、建築物の 耐震 設計などをするにあたっては科?的に正確な尺度として用いることができず、別途地震動の?さを表す工?的定義が必要となる。現在においては以下の加速度による定義(佐野震度)がよく用いられている [1]

佐野震度 [ 編集 ]

1916年 大正 5年)に、 佐野利器 は著書『家屋耐震構造論』の中で、耐震計算をするための尺度として、地震動の?さは地震波の最大加速度 αに比例するものと考えαの重力加速度 g(=980 Gal )に?する比 Kを 震度 (seismic coefficient)と名付けた [2] 。現在においては 佐野震度 (Sano's seismic coefficient)または 工?的震度 とも呼ばれる [3]

佐野震度

地震動による水平加速度 α h 、鉛直加速度 α v が問題となるときは、

とし、それぞれ 水平震度 (horizontal seismic coefficient)および 鉛直震度 (vertical seismic coefficient)と呼ぶ。なお、耐震設計においては基本的に水平震度が問題となる。

この震度?念の導入は、物?が地震動を受けることによってかかる力(地震力)の算出を簡明にした。

いま、(質量ではなく)重量 W kg重 の物?がαGalの地震動を受けたとする。このとき、物?の質量をmとすると、ニュ?トンの運動方程式から地震力 Fは

となる。ここで、重力加速度は地球上ではほぼ一定のgであることからm=W/gとなるので、

=

が導かれる。

すなわち、重量 Wkg重の物?が震度 Kの地震動を受けるとき、地震動の方向に

地震力 F=KW(?位:kg重)

を受けることとなる。

構造計算法の中の許容?力度計算(一次設計)では、地震力を決める係?のひとつとして標準せん?力係?Coを用いており、通常0.2、軟弱地盤における木造建築物では0.3とされていて、それぞれおよそ水平震度0.2、水平震度0.3に相?する(?密には地域係?、振動特性係?など他の係?も?係するため若干異なる)。建築物の地上階の設計においては、 1981年 以前の法令で「水平震度」が規定されていたが現行法令上は標準せん?力係?がこれを代替している。地下階の設計においては法令上も「水平震度」が登場する。ここでいう水平震度0.2は水平加速度0.2g=約200 ガル に相?する。

なお、耐震基準で定める一次設計水平震度0.2を超えると建物は損傷を起こし始め、二次設計水平震度1.0を超えると倒?が始まるとされる。こう考えると1000ガル程度の地震で建物が倒?するように聞こえるが、?際の地震では 最大加速度 は一瞬にしか現れないので、通常はこの?倍の最大加速度の地震に耐えることができる。ただし、卓越周期(その建物を?らした地震動の周期をスペクトルで表した時に大きな値をとる周期)が 固有振動周期 に近い地震動ではこの限りでない。

他の工?的な震度 [ 編集 ]

一般には地震の?さは地震波の加速度に比例すると考えられ、主に工?的震度(佐野震度) Kが用いられているが、震害の大きさは一?に工?的震度 Kに比例するわけではないこともあり、他にも定義が存在する [4]

ハウスナ?のスペクトル?度 [ 編集 ]

ハウスナ?(G.W. Hausner)は、地震の?さを測る?度として、?答速度スペクトルと呼ばれるものを周期0.1secから2.5secの間で平均し

SI( cm/s )=

という量を定義し、これを スペクトル?度 SI , Spectral Intensity)と名付けた。

建物を?らす地面の地震動を速度の周期分布で表現した速度表面スペクトルに?し、地震動に呼?して建物自?が?れる振動を速度の周期分布で表現したのが?答速度スペクトルである。一般的に前者よりも後者の方が大きな速度値をとり、またピ?ク周期も異なるため、建物被害を考える上では後者の方が重要である。

ただし、固有周期2.5秒を超えるような 長周期地震動 はSI値の定義外のため、被害との相?性が低くなる。

震度階級 [ 編集 ]

2007年のペル?地震 の震度分布?。USGSの推定による改正メルカリ震度階。

地震動の?弱を表す尺度としては 震度階級 (seismic intensity scale)または?に 震度階 と呼ばれるものもある。それぞれ?れの違いがある10前後のレベルで表現され、世界では地域により定義の異なるいくつかの震度階級が用いられている。現在の日本では ?象?震度階級 が使われており、日本では一般的にこれを「震度」と呼ぶ。なお、震度階級と工?的震度(佐野震度)の?さは一?には比例しない。

震度階級の性質 [ 編集 ]

震度階級は、 ?層 破?で放出されるエネルギ?の大きさを表す マグニチュ?ド (地震のエネルギ?の規模)とは異なり、?測する地点によって全く異なる。その地震によって各地で?測されたうち、最大の震度階級を 最大震度階級 (maximum seismic intensity scale)または?に 最大震度 という。

マグニチュ?ドは「地震のエネルギ?規模」を表すもので、マグニチュ?ドが大きくなれば最大震度も比例する形で大きくなるが、逆に同じマグニチュ?ドでも最大震度の差異を生じることもある。小さな?れが?範?に渡ったり、長時間?れれば、マグニチュ?ドは相?的に大きくなる。これに?して、震度は?際の?れの測定値であり、地震の?生源が?ければ(地表に近ければ)、マグニチュ?ドが小さくても最大震度が大きくなる場合もある。震度は地震動の?さを表し、1つの地震につき場所によって多?の値をとる。

震源が?い直下の地震では、マグニチュ?ドの値と?象?震度階級の値がほぼ同じ?値になることが??的に知られていて、例えばマグニチュ?ド4程度の地震では最大震度はおおむね4以下(計測震度4.5未?)となることが多い。ただし、地盤の固さや震源の深さなどにより、最大震度は比例?係から外れ大きくなる場合がある。

原則として、震度階級は震源(震央)からの距離に逆比例し、震源から遠いほど震度階級は小さくなる。最大震度階級は震源の直上である震央付近となるのが普通で、震度階級の?がりを地?上に表すと同心円に近い分布をとる。震央からの距離が同じ地震でも、震源の深さが深くなるほど、同じ地点でも震度階級は小さくなる。なお、日本付近の約100kmより深い太平洋プレ?トで?生する 深?地震 の中には、地下の テクトニクス 構造( プレ?ト の重なりの構造)を原因とする 異常震域 のため、震央で?れが小さいにもかかわらず東北地方や?東地方の太平洋岸で?れが大きくなる事例がしばしば見られる。異常震域は地表付近の地盤の固さの違いが?れを?幅させたり減衰させたりして生じることもある。

「震度○の地震」という表現は、「その地震の最大震度階級」を意味する場合と、「その地震における、ある地点の震度階級」を意味する場合があり、注意を要する。たとえば、 兵庫?南部地震 (M7.3)は震源に近い神?市などで最大震度7(?象?震度階級)を?測した「震度7の地震」であると同時に、震源から離れた名古屋市では「震度3の地震」、東京では「震度1の地震」である。

震度階級の種類 [ 編集 ]

震度の階級表は?際的に統一された標準的な規格はなく、それぞれの?や地域が採用したいくつかの指標がある。主な使用されている震度階級としては以下のようなものがある。なお、それぞれの震度階級の間で、?式などを用いて???係を示すことは難しい。また同じ震度階級でも機?によって運用や基準が異なり、?純に同じとはみなせない場合がある。各?の?象機?で公式に使用する震度を定めていないところも多いが、改正メルカリ震度階を使用するところが多い。なお、日本以外の多くの地域では、 加速度計 地震計 といった機械のデ?タも?考にされるが、主に人?感?や被害の程度などを?合的に勘案して、人が判定している。

?象?震度階級
日本 の?象?震度階級は、現在では機械による計測値、いわゆる「計測震度」を使用しており [注? 1] 、デジタル震度計が?測した計測値を10段階に換算して ?象? が?表している。また、?象?は地震や津波の早期周知のため、地震?生?分以?に報道機?などに震度を含めた 地震情報 を?表している。震度3以上の場合は 都道府? を?個に?切った地域ごとの震度、そののちに地点ごとの震度という形で段階的に詳細な情報が?表される。大規模な地震では、その後にデ?タを詳細に分析するなどして、推計震度分布?も作成される。 1996年 9月までは、?象台の職員が、?感や被害などから判定していた [5] 2013年 、?象?震度階級とは別に長周期地震動に?する4段階の「 長周期地震動階級 」を設定し、同年11月から試行的に「長周期地震動に?する?測情報」として運用を始め、 2019年 3月より本運用に移行した。
ロッシ?フォレル震度階
ロッシ?フォレル震度階は、 1873年 ごろに出てきた地震の?さをIからXの10階級に分類した震度階級である。Xの適用範?が?すぎること、ヨ?ロッパの生活を基にした基準であり、メルカリ震度階が出てきたこともあり、次第に使用されなくなった。
改正メルカリ震度階
メルカリ震度階はロッシ?フォレル震度階から?展したもので、 1902年 ごろに出てきた13階級からなる震度階級表である [6] 。後に何度か修正が重ねられ、メルカリ?カンカ?ニ?シ?ベルグ震度階が提案され、 1931年 にはメルカリ?ウッド?ニュ?マン震度階となり、現在ではIからXIIの12階級からなる改正メルカリ震度階となった。 アメリカ [注? 2] 韓? などの?で使われている。
メドヴェ?デフ?シュポンホイア??カルニク震度階級
メドヴェ?デフ?シュポンホイア??カルニク震度階級は、ヨ?ロッパでは日本の?象?震度階級とも改正メルカリ震度階とも異なる別のものを使用している?があり、?際間の情報交換に都合が?かったことから、?際的に統一した震度階級として提案されたIからXIIの12階級からなる階級表である。 1964年 の?議の議題となったが結局見送りとなり?際的な統一とはならなかった [7] CIS 諸?、 東ヨ?ロッパ 諸?、 イスラエル インド などで使われている。
ヨ?ロッパ震度階
ヨ?ロッパ震度階は、ヨ?ロッパ地震?委員?によって 1988年 ごろに提案され、 ヨ?ロッパ 各?で使用される1から12までの12階級からなる震度階級表である。
中?震度階級
中?震度階級は、 1980年 ごろに出てきた 中華人民共和? で使われるIからXIIの12階級からなる震度階級表である。 1999年 改正。
中央?象署震度階級
中央?象署震度階級は、 台? 中央?象署 2000年 に制定した、 1996年 9月30日 以前の??象?震度階級を?考にした0から7の8段階の震度階級であった [8] 2020年 1月1日 より??の5級(?震)と6級(烈震)を、5弱、5?、6弱、6?に細分し、?象?震度階級を?考にした0から7の10段階の震度階級に?更した [9]

統計上の連?性の問題 [ 編集 ]

震度階級の定義は何度か改定されている場合が多く、?究資料として用いる場合の連?性が問題となる場合がある。?象?震度階級を例にとれば、計測震度が導入された1996年10月1日の改正前後で大きな差がある。また、?象?震度階級は?測点?が1990年代から2000年代にかけて急?し?測密度が高くなったため、震度の統計には補正が必要である。

脚注 [ 編集 ]

注? [ 編集 ]

  1. ^ 現在までの計測の最大は 平成28年熊本地震 (本震)で 熊本? 益城町 で?測された計測震度6.7の震度7である。
  2. ^ アメリカ地質調査所 (USGS)も?知の地盤?度デ?タをもとに推計震度分布を?表している。

出典 [ 編集 ]

  1. ^ 大崎(1983) p.49
  2. ^ 武藤(耐震設計1) pp.1 - 2、 15 耐震設計と今後の課題
  3. ^ 大地(1984) p.13
  4. ^ 大地(1984) p.15
  5. ^ 境有紀、神野達夫、??一起、 震度の高低によって地震動の周期?を?化させた震度算定法の提案 日本建築??構造系論文集 2004年 69? 585? p.71 - 76、 doi : 10.3130/aijs.69.71_4
  6. ^ 大崎(1983) p.48
  7. ^ 大崎(1983) pp.48 - 49
  8. ^ 地震百問 震度 - 台?中央?象局
  9. ^ China(Taiwan), Ministry of Foreign Affairs, Republic of (2019年12月19日). “ 中央?象局、地震の?れの大きさ示す震度階級を改訂 ” (jp). Taiwan Today . 2020年1月6日 ??。

?考文? [ 編集 ]

外部リンク [ 編集 ]