主?農法

出典: フリ?百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
山の斜面を利用した北朝鮮の農業(1988年撮影)

主?農法 (チュチェのうほう、主體農法)とは、 朝鮮民主主義人民共和? (北朝鮮)で行われている 主?思想 に基づいて食糧自給を目指す農法 [1]

?? [ 編集 ]

主?農法
各種表記
チョソングル 主體農法
漢字 主體農法
?音 チュチェノンポプ
日本語 ?み: しゅたいのうほう
RR式 Juche nongbeop
MR式 Chuch'e nongp?p
英語 表記: Juche agricultural method
テンプレ?トを表示

朝鮮半島 北部は、 日本統治下 では主として?工業地域として開?が進められていた。そのため、同地に建?された朝鮮民主主義人民共和?(北朝鮮)では食糧自給とそのための農業振興が課題となり、 金日成 ? 金正日 父子の指導によって進められた [注? 1] 。それは 主?思想 、つまり外?の干?を排?する?烈な ナショナリズム (「ウリ(我?)式社?主義」)を基本として進められ、 開?途上? にありがちな 外?資本 依存の近代化モデルを排して 自力更生 を目指す、主?農法の??として進められた [1] [3] [注? 2]

しかしその?態は、 ?念 スロ?ガン に疑念を持たずに 朝鮮??? の指導に服?し、 精神論 のみでやり?くことを要求するものに近かった [3] [注? 3] 。この農法は、??知にもとづく?統農法も科?的知識にもとづく近代農法もまったく無視していたため失敗し、北朝鮮の 農地 とそれを背後で支える自然環境が破?され、かえって食糧難をもたらした [1] 。同じ東側諸?でも ソビエト連邦 中華人民共和? で似たような政策を推進し、失敗している [注? 4] 。しかし、??の農業政策は?外的には「大成功だった」と喧?されたため、北朝鮮も過去の過ちから?ぶことはなく、同?の間違いを繰り返すこととなった。

例を?げれば、「食料が足りないなら山林を農地に?えればよい」とする?純な理屈から山林を切り開いて山頂まで 棚田 や段?畑を造る方式を北朝鮮全土に?めたが、全耕地の7割が傾斜15度以上の山の斜面を利用したものであり、これでは十分な農業生産は難しい [4] 。金日成が 土留め のない田畑を造ることを指示したため、少し雨が降っただけでその田畑は崩?してしまった [1] [5] 。段?畑に適しているのは、本?は 果樹 などの 多年生作物 であるが、 トウモロコシ という 一年生作物 の栽培を行ったために土砂の流出が不可避となったのである [5] 禿山 となって保水力を失った山の土砂が川に流れ?んで水位が上がり、 河川 が容易に 氾濫 し、洪水が多?する原因となった [1] [5] 。また、トウモロコシ畑においては 連作障害 を引き起こし、?産という目的に反し不作、ひいては食糧難を招くこととなった。さらに、洪水の影響で大量の土砂が海に流れ?み、沿岸の 生態系 が破?されてしまったため、 漁業 までもが不振に?った。 1990年代 、北朝鮮は大雨による 水害 に見舞われたが、被害を激甚なものとした原因に主?農法があることは間違いなく、まさに人災である [1]

中?を模倣して、コメやトウモロコシを常識外れの密度で植える「密植」も主?農法の一大特?である [1] [4] 。ここに、 化?肥料 を機械的に大量に投?したため、一時的に農業生産は上昇したものの、隙間なくぎっしり植える密植では 土? の消耗(地力低下)が著しく、農地の生産力が崩?した [5] [4] 。ソ連をはじめとする東?共産?の援助による化?肥料の供?が途絶えると、多くの農地が「 砂漠化 」と?して差し支えないほどの??を呈した。北朝鮮の農業生産量は1985年以降、急速に下落したのである [4] 。主?農法ではまた、特殊なトウモロコシ栽培法が採用された [5] 。土中に穴を掘り、 堆肥 のボ?ルのなかに 種子 を入れたものをその中に蓄えることによって 暖房 代をかけずに苗を育てるやり方である [5] 。しかし、この育苗法は、日光にあてないので脆弱な苗しか育たず、しかも超密植するため、日照も不足し風も通らない [5]

?局の指導を受け、?穫物を供出する北朝鮮の農民(2015年撮影)

土留めのない段?畑も密植も、金日成が現地指導した際に?した「?示」(マルスム=お言葉)に基づいており、?統的な農法からも逸?し、科?としての農業という?点からも不合理きわまりないものである [1] 。生産者側が勝手に植栽方法を改善すれば、「?示」に?わなかったという理由で?罰される可能性が大きく、最高指導者に?しては意見を述べることもできない。北朝鮮では、 憲法 よりも最高指導者による「?示」の方が優先されるからである [6] 。農業の?門家といえども「?示」に逆らうことはできない [1] [6] [注? 5] 在日本朝鮮人?聯合? (朝鮮?連)の重?であった 李佑泓 は、1989年、祖?の農業?展に?力したものの頓挫した?緯を『どん底の共和?―北朝鮮不作の構造』に著したが、北朝鮮不作の理由のひとつとして、この主?農法を?げている [7] 。一方、 和田春樹 は主?農法には「人間が自然を支配できる」という傲慢さがあり、不作は自然から反?を受けている?しであると指摘している [5]

1995年 7月30日 から 8月18日 にかけて、北朝鮮では?史的な大洪水に見舞われ、多くの田畑とともに備蓄食糧も流されて農業は大打?を受けたが、 重村智計 は、農業生産の低下と食糧難の?の原因は水害ではなく、農業政策の失敗と「主?農法」であると述べている [4] 。1995年の大水害ののち、 世界食糧計? (WFP)や 世界食糧理事? (WFC)などが北朝鮮農業の?態を調査した結果、北朝鮮では主食の農作物としてはコメとトウモロコシしか栽培していない?態が明らかとなった [4] 。?門家らは冬場の ムギ の耕作を提案したが、金日成の「?示」にない作物を植えてよいのかという異論があり、そのために1年以上におよぶ長い議論の結果、ようやくムギ栽培が認められた [4]

苦難の行軍 」と呼ばれる1990年代後半の北朝鮮大飢饉の原因は、主?(チュチェ)農法にあったのである [1] [5] [4] [7]

主?農法の軌道修正 [ 編集 ]

「苦難の行軍」期にあたる 1996年 、のちに ?北 することとなる人物が 酒の密造 で警察に摘?された老夫婦を助けた際、老婆が「日本の統治時代より生活が?しい。日本時代には少なくとも食べ物がなくて死んだ人はいなかった。配給もきちんとしていたし」と話しているのを聞いている [8] 北朝鮮 では 1957年 11月から、協同農場の農民を除く全?民に食糧配給制度が?施され、一般??者は1日あたり700グラム、軍人は800グラム、15?以下の子供や老人は100グラムから500グラムまで、職業や年?に?じて配給されることになっており、1990年代初頭には平均450グラム程度の配給量となったが、1995年の水害でその半分に減量され、それから?年でさらに減少させられた [9] [注? 6] 2001年 5月に 北京 で開かれた第5回東アジア太平洋地域閣僚等?合に北朝鮮?局が提出した資料によれば、1993年に73.2?だった 平均?命 は1999年には66.8?に縮まり、5?以下の 乳幼?死亡率 はこの間、1000人あたり27人から48人へと激?している [8] [注? 7] 。生存しても乳幼?期の?養失調は ?達障害 認識障害 などの 後遺症 として?り、食糧難の時期に生まれた子どもたちが?兵年?に達した2009年から2013年にかけては、17パ?セントから29パ?セントの若者が アメリカ合衆? の基準では認識障害と診?されて兵役不可となると推計された [8] 。1994年から1998年までの「苦難の行軍」の時期に北朝鮮領?で餓死した人は300万人に達したという推計もある [10] [11]

農業不振と食糧難を改善するため、金日成死去後の 1997年 には「農民の志向と?情に合わせて農業を行う」として主?(チュチェ)農法の?質的修正がなされ、 家族?? ?親族??を可能にしたり、農民が自由に作物を?分できる自留地を?大するとの施策がなされた [1] 。かつて、自留地(農家の前庭)は猫の額ほど?いものの、そこだけは土地が肥え、農作物がよく稔っていたといわれる [2] [注? 8] 。しかし、この政策修正にあたっては「金日成主席が現地指導した農場での指示を、そのまま全土に適用したことに間違いがあった」とされた [1] 。すなわち、「?示」そのものには何ら間違いはなかったとされたのであった [1]

脚注 [ 編集 ]

注? [ 編集 ]

  1. ^ 朝鮮?? 後に金日成が進めた協同農場化政策は 1950年代 後半には早くも失敗だったことが露わになり、1950年代末には10万人もの餓死者が出たという [2] 。ただし、この事?はあまり外?には知られていない [2]
  2. ^ 主?思想は、他?に依存することなく自分たちの路線を貫こうとする北朝鮮の支配 イデオロギ? だが、他?と違うことを行おうとするときの自己正?化としてもよく用いられる [1] 。また、ここでいう「主?」農法とは農民自身の?案と決定による農作業や栽培作物ではなく、中央の決定と指示に??する農法である [4]
  3. ^ 李英和 は、 1991年 平? 留?中、 朝鮮社?科?院 の高名な?授から何度も「主?思想」のレクチャ?を受けたが、とうとう理解できず、結局これは「なせばなる、なさねばならぬ何事も」という精神論なのではないかという感?を得たという [3]
  4. ^ 中?では 大躍進政策 という大衆的な大?産運動を展開した結果、大飢饉を招いている。ソ連では 集?農場 における トロフィム?ルイセンコ による指導が?制側から徹底されたが、その?果には大きな疑問が寄せられた。また、大規模な自然改造政策は アラル海 の縮小を招いた。
  5. ^ 意見を述べた?門家は ?制?容所 へ?監の上、?刑される場合がある。
  6. ^ 食糧配給制度は2002年に?止された [9] 。ただし、 朝鮮??? 幹部には特別の配給が??されているという [9]
  7. ^ 2002年の北朝鮮の1000人あたり乳幼?死亡率は55人で、1999年よりさらに?化している [8] 。なお、韓?の乳幼?死亡率(1000人あたり)は5人、日本のそれは4人であった [8]
  8. ^ 自留地は「卵の?身」に形容されるほど作物がたわわに稔っていたが、協同農場は外からみえる部分はまだしも、みえない部分は?憺たる?況だったといわれている [2]

出典 [ 編集 ]

?考文??脚注 [ 編集 ]

  • ??敦仁 澤田克己 『LIVE講義 北朝鮮入門』 東洋??新報社 、2010年11月。 ISBN   978-4-492-21192-2  
  • 重村智計 『最新?北朝鮮デ?タブック』 講談社 講談社現代新書 〉、2002年11月。 ISBN   978-4-00-431361-8  
  • 津田太愚 つだゆみ 『北朝鮮のことがマンガで3時間でわかる本』 飛鳥出版社 、2004年3月。 ISBN   4-7569-0738-5  
  • 李佑泓 『どん底の共和?―北朝鮮不作の構造』 ?紀書房 、1989年8月。 ISBN   978-4750589060  
  • 李英和 『北朝鮮 秘密集?の夜』 文藝春秋 文春文庫 〉、1996年7月。 ISBN   4-16-725002-0  
  • 和田春樹 『北朝鮮現代史』 岩波書店 岩波新書 〉、2012年4月。 ISBN   978-4-00-431361-8  

?連文? [ 編集 ]

  • 金日成 『わが?社?主義農業の正しい運?のために』外?文出版社、1975年。 NDLJP : 11990813  
  • 『わが?における農業協同化の?史的??』外?文出版社、1975年。 NDLJP : 12042391  
  • 金日成『農村テ?ゼの完全な?現のために』外?文出版社、1982年。 NDLJP : 12039221  
  • 『朝鮮の農業』外?文出版社、1983年。 NDLJP : 11991137  

?連項目 [ 編集 ]