??部次長 松原知基
「??は力なり」とは、その意味を解?するまでもなく、もはや?民的な座右の銘と言ってもよかろう。誰の言葉なのかについては諸?あるようだが、有力な一人とされるのが?育者、宗?家として知られた住岡
夜晃
(1895~1949年)である。
著書「
?嘆
の
詩
上?」(樹心社)から。「?年よ。?くなれ。牛のごとく、象のごとく、?くなれ。?に?いとは、一道を生きぬくことである。(中略)『念願は人格を決定す。??は力なり』。?の?さは正しい念願を貫くにある」
牛や象のように?みは緩やかでも、?い意志を持って目標にまい進し?けることの大切さを?いたものと解?できる。
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1年間の大阪本社??部デスクを?て6月、東京に?った。大阪で最も印象に?る仕事が、「??は力なり」を?現した東レを取り上げた連載記事だ。?維産業の再生をテ?マに、?西で配られる本紙の??面で4月に?載した(
記事はこちら
)。
炭素?維=東レ提供
東レが??によってものにしたのは炭素?維。?に比べて重さ4分の1、?度10倍といい、今や自動車や航空機の素材に採用されている。2月に打ち上げられた新型ロケット「H3」2?機にも使われた。
?究開始は1961年、量産化は71年。?に比べて高すぎる製造コストがネックになり、?初の用途は釣りざおやゴルフ用シャフトなどに限られた。改良を重ね、2003年に米ボ?イングの旅客機「787」の開?計?に?加して注目を浴びるまで、時には赤字に耐えながら??した。
種子島宇宙センタ?から打ち上げられる「H3」2?機(2024年2月17日)
社史「東レ90年史」(18年?行)にも苦?ぶりがうかがえる一文がある。「必ずものになるという??トップの先見性とリスクテイク、必ず達成するという開?者たちの信念と?行力で、時には
僥倖
にも?まれながら、困難を?り越えてきた」
今や炭素?維は、東レに加えて帝人、三菱ケミカルの3社が世界市場で上位を占め、「日本のお家芸」とも言える素材になった。海外メ?カ?が相次いで撤退しても、開?に挑み?けた結果である。
◇
ここで、ふと思い出すことがある。00年代後半に?維業界を??した時、大手の役員が自嘲?味にこんな話をしていた。
「炭素?維、炭素?維って注目されているけどさ、日本企業の?いところが出た結果だとも言えるよ」
どういうことでしょう。
「お金をかけたから、一度始めたら赤字でもなかなかやめられない。海外勢はさっさと撤退したのに、ダラダラと?けちゃったんだよ。そしたら、たまたまものになったというわけ」
投資した事業から撤退しても回?できない費用を「サンクコスト(sunk cost)=埋?費用」、それまでに費やした資金や?力、時間を惜しんで事業を?けてしまうことをサンクコスト?果という。この役員は、撤退が苦手な日本企業にサンクコスト?果が?き、運良く成功しただけだ、とシニカルな見方をしていた。
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