里山林における下刈りがチョウ類の種多?性および群集構造に?える影響を明らかにするために,1999年および2001年に,大阪府北部の三草山の里山林「三草山ゼフィルスの森」においてトランセクト調査を行った.調査地の林床は1999年にはササに被われていたが,2000年の秋以降,下層植生の下刈?非下刈?を25m間隔で縞?に配置する管理(縞?管理)が試?的に行われた(Fig. 2). 2年間の調査の結果,合計52種1750個?のチョウ類が?察された(Table 1).そのうち日華?系(日浦, 1973)の種は35種(4種の日本固有種を含む)と全?の約67%を占めた.寄生植物に注目すると,落葉?葉樹食者(14種)や高?草本食者(11),藤本食者(8),低木食者(7)などが多かったが,常??葉樹食者(2)は少なかった.低木食者にはササ食者を含めたが,そのうち3種のヒカゲチョウ類(クロヒカゲ,ヒカゲチョウ、サトキマダラヒカゲ)が?調査年ともに最上位の優占種であった(Table 2).このほか,落葉?葉樹食者であるミヤマセセリやミズイロオナガシジミ,アカシジミ,高?草本食者であるヒメウラナミジャノメやジャノメチョウなども優占種に含まれた.チョウ類の種?と個??は,縞?管理の完成前(1999年)の調査では41種975個?であったが,完成後(2001年)には46種775個?となり,種?は?加したものの,個??は減少した(Table 1).チョウ類群集の種多?度や均衡度(H', 1-λ, J')は,いずれも2001年(3.99, 0.89, 0.72)のほうが1999年(3.40, 0.83, 0.64)よりも高かった.2001年のみに確認されたチョウ類は11種で,その中にはミドリヒョウモンやオオウラギンスジヒョウモンなどの森林性草本食者やウラミスジシジミ,ウラキンシジミ,ウラジロミドリシジミなどのゼフィルス類,環境省のレッド種であるオオムラサキなどが含まれていた.一方,1999年のみに確認されたチョウ類は6種で,そのうちの半?はオ?プンランド性の種(イチモンジセセリ,ジャコウアゲハ,ツバメシジミ)であった.寄生植物や成?の食物,分布,化性などに基づいて分類した各グル?プの種の割合は,種?については調査年間での違いは認められなかった(Table 3).しかし,個??の割合については,?調査年とも,日華?系の種であり,多化性,樹液食,ササ食の種でもあるクロヒカゲ,ヒカゲチョウ,サトキマダラヒカゲの3種が優占していたが,これらの種の割合は2001に大きく低下した(Tables 2, 3).それに?して,2種の1化性ヒョウモンチョウ類(ミドリヒョウモン,メスグロヒョウモン)を含む花蜜依存種や森林性草本食のチョウ類の個??は2001年に?加した.季節?化をみると,種類は1999年には6月(16種)と8月(19)に2つの,2001年には6月(19),7月(16),8月(18),9月(12)に4つのピ?クが認められた(Fig. 3).密度については,?年ともに6月と9月にピ?クが認められたが,9月のピ?クは1999年(約フ5個?/km)の方が2001年(35)よりも高かった.また,種多?度(1-λ)は,?年とも5-9月の間,約0.8前後で比較的安定していたが,夏期と秋期については2001年の方がやや高かった.ヒョウモンチョウ類の密度は1999年より2001年の方が高く,特に9月下旬に最大(約3.5個?/km)となった.それに?して,ヒカゲチョウ類では2001年に密度が低下し,特に夏世代の密度は1999年(最大約65)に比べて,2001年(30)は2分の1以下であった(Fig. 4).以上のような結果から、縞?の下層植生管理は,調査地のチョウ類群集の種構成に大きな影響を及ぼさす,優占種であるササ食者の密度の低下や森林性草本食者の?加などを通じて,群集の種多?度を?加させることが示された.
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