動画配信サービスの米 ネットフリックス は、７－９月（第３四半期）の会員数がここ数年で最高の伸びを記録したのを受け、米国と英国、フランスの一部顧客を対象に値上げに踏み切る。ライバル企業のストリーミングサービスが損失を出す中でも、ネットフリックスの経営陣が将来に自信を持っていることを示唆した。 

　　ネットフリックスの18日の発表によれば、７－９月期の会員数は876万人増加し、アナリスト 予想 を大きく上回り、総数は２億4720万人に達した。同社は、力強い番組編成とパスワード共有対策が奏功したと説明した。

　　投資家の間では、ネットフリックスがアカウント共有者らに自身での加入を迫れば、顧客を失いかねないと懸念されていたが、こうした対策は解約を増やすことなく、新規顧客の大幅増につながった。今年の会員数の伸びは2000万人を超える方向にあり、2022年の900万人弱から大きく増える見込み。

　　ネットフリックスの株価は、決算発表後の時間外取引で一時13％上昇し、392ドルを付けた。

　　友人や家族もアクセスできる有料のアカウント共有プランの導入が成功したことで、ネットフリックスは主要市場の一部で値上げに踏み切った。同社は18日から、米国で最も高いプランを３ドル値上げして23ドル（約3450円）に、基本プランを２ドル値上げして12ドルとする。英国とフランスでも同様の措置を講じる。

　　ネットフリックスは今四半期の売上高を86億9000万ドル、１株利益を2.15ドルと見込んでおり、いずれもウォール街のアナリスト予想を若干下回る。会員数の伸びは前四半期と同程度で、プラスマイナス数百万人程度の見通し。同社はパスワード共有対策を段階的に実施しており、その効果は今後数四半期にわたって続きそうだ。

　　ウォルト・ディズニーやワーナー・ブラザース・ディスカバリー、パラマウント・グローバルは、業績改善のためにコスト削減や人員整理を行っているが、こうした企業のストリーミングサービスの大半は赤字だ。

　　一方のネットフリックスは、７－９月期の売上高と利益が市場予想を上回った。１株利益は3.73ドル（市場予想3.56ドル）に増加し、売上高は7.8％増の85億4000万ドルと、予想より若干好調だった。同社はまた、利益率が来年には22％以上に改善し、今後数年間でさらに伸びる可能性があるとしている。

　　キャッシュフローは、ハリウッドの労働争議の影響で押し上げられた。経営陣は今年のフリーキャッシュフローを65億ドルと予想し、従来予想の50億ドル以上から上方修正した。コンテンツ支出がストライキで約10億ドル減少することを反映した。

　　ただ、労働争議でもネットフリックスの番組配信スケジュールにほとんど影響はなかった。多くの番組の制作がすでに終了していたためで、同社はヒット番組「ヴァージンリバー」や「ハートストッパー」の新シーズンをリリース。日本の長編人気漫画「ONE PIECE」実写版などの配信もヒットした。

原題： Netflix to Raise Prices After Best Subscriber Gain in Years (2) (抜粋)