日本の政治における
積極的平和主義
(せっきょくてきへいわしゅぎ)とは、平成25年(2013年)の
?家安全保障?略
の一環として、
第2
?
3次安倍晋三?閣
が?げた安全保障の理念
[1]
[2]
。
2015年
8月14日の安倍の
終?七十周年の談話
などに用いられた。英?はProactive Contribution to Peaceである
[3]
。
なお、
ノルウェ?
の平和?者
ヨハン?ガルトゥング
が
1958年
に提唱した?念にPositive Peace(「
積極的平和
」)があることから、2015年に
藤末健三
が定義と英?の異同について??で質問した
[3]
。それに?する答弁書で安倍は「御指摘の「積極的平和」の考え方と重なる部分も多い」と述べた
[2]
。しかしガルトゥング本人は、安倍の理念は自身の理念と「?逆」だとした
[4]
(
#課題と論点
を?照)。
?史
[
編集
]
1970年代
[
編集
]
「
積極的平和主義
」という言葉は、防衛
官僚
の
久保卓也
が
1977年
に用いた
[注 1]
。久保は次のように提唱したという。
?後日本の「
平和主義
は、憲法上の解?、そこから由?する
非武?中立
論、
非核三原則
、
不可侵?約
の提案等にみられるように、わが?は何?をしない、という受動的、消極的な平和主義」といえ、「?際の安定と平和の創出のために何かするという、能動的、積極的平和主義への?換が必要」と語った。(p.93)
日本の?際貢?が本格的に議論されるのは
?岸??
がきっかけであるが、久保は
1970年代
から積極的平和主義への?換を指摘していた。なお、この久保は
1980年
12月
に死去している。
1990年代
[
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]
?岸??後、
?際政治?者
で、
シンクタンク
?
日本?際フォ?ラム
理事長の
伊藤憲一
が
1991年
11月
に上梓した『「二つの衝?」と日本』(
PHP?究所
刊)の一節「消極的平和主義と積極的平和主義」(pp.117-120)で使用した。この著作で伊藤は次のように述べている。
わたくしは、憲法は日本の積極的な?際的貢?を禁じているどころか、むしろそれを求めていると考える。憲法はその第九?で「加害者にならない」ための禁欲的自己規制(すなわち消極的平和主義)を打ち出す一方で、前文のなかで「貢?者となる」ための利他的自己?牲(すなわち積極的平和主義)を宣言している。憲法解?のあるべき姿は、この?者の均衡と調和のなかにこそ求められるべきであろう。(p.118)
この伊藤の「積極的平和主義」構想は、
2007年
の著書『新???論:積極的平和主義への提言』(新潮新書)で本格的に展開されるに至った。
伊藤による『「二つの衝?」と日本』刊行の翌年、
1992年
6月
の
自由民主?
の「?際社?における日本の役割に?する特別調査?」(?長が
小?一?
だったため「小?調査?」の別名がある
[5]
)の提言において、「積極的平和主義」との言葉が用いられた。?時、日本は?岸??への??を巡り、多額の金額を?出したものの、?後?理を除いて?時中には
自衛隊
を派遣しなかったために?際的に批判される事態となっていた。提言の中では、「日本さえ平和であれば良い」という一?平和主義に加え、「日本が軍事的活動を行わない事が?際平和に寄?する」とした考えを「消極的平和主義」と位置づけた。その上でこれらを否定し、
日本?憲法前文
の「いづれの?家も、自?のことのみに?念して他?を無視してはならない」に代表される理念を前提に、人道支援はもとより、場合によっては
?連平和維持活動
に代表される
自衛隊海外派遣
などの軍事的オプションを含む?際支援があってこそ世界平和が近づくという考えを「積極的平和主義」とした。
2000年代
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]
?合?究開?機構
(NIRA)は
2001年
3月に「積極的平和主義を目指して - 「
核の傘
」問題を含めて考える」と題した報告書を提出した。この報告書はNIRA委?の?究委員?によって作成されたものだが、上述の伊藤憲一はこの委員?にコア?究?委員として?加し、その起草および取りまとめに寄?した。また、伊藤が理事長を務める日本?際フォ?ラムに設置されている政策委員?は、
2004年
4月に「新しい世界秩序と
日米同盟
の??」
[6]
と題する政策提言を?表したが、その中で、「消極的平和主義」と「積極的平和主義」を次のように?比したうえで、「『不?共同?』の?大と深化を日本の?家目標にせよ」、「
憲法第9?
を
改正
し積極的平和主義に?換せよ」、「
集?的自衛?
を認め、『
安全保障
??際協力基本法』を制定せよ」などの提言を行った。
消極的平和主義とは第二次大?直後の日本の平和主義である。
贖罪
を最大の目的とし、二度と同じ過ちを犯さないことを誓うことによって完結する平和主義である。しかし、
21世紀
初頭の日本の平和主義は、世界の不正と悲?を直視し、不安と恐怖を理解し、その除去のために積極的に貢?しようとする積極的平和主義でなければならない。
この日本?際フォ?ラム政策委員?は、その後も、
2009年
に、「積極的平和主義と日米同盟のあり方」と題する政策提言
[7]
を?表し、「『非核三原則』などの『防衛政策の基本』を再?討せよ」、「
東アジア
地域における?話と協力の主導?を握れ」、「『?際平和協力一般法』を制定し、グロ?バルな『
集?安全保障
』に貢?せよ」などの提言を行った他、直近では
2014年
に、「積極的平和主義と日本の針路」と題する政策提言
[8]
を?表し、「
?連
の集?的安全保障措置には、軍事的措置を伴うものも含めて、?加せよ」、「
G7
諸?とともに、
ロシア
の『力による一方的領土?大』を拒否し、その不承認政策を貫徹せよ」、「日本は『地球規模の諸問題』についてもリ?ダ?シップを?揮せよ」などの提言を行うなど、「積極的平和主義」に基づく日本の
外交政策
について積極的に?値?信を行っている。なお、これらの政策提言はいずれも時の
?閣?理大臣
に提出されている。
2010年代
[
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]
この間、
野田政?
下の
?家?略室
フロンティア分科?による報告書
[9]
が提出されたが、この中では、同?の意味を持つ言葉として、「
能動的な平和主義
」が用いられている。
このような中、
2013年
12月4日
に
?家安全保障?議設置法
が改正され、
外交
?
防衛
を中心とした安全保障の司令塔である
?家安全保障?議
が設置された。?議の運?方針として審議されたのが「
?家安全保障?略
」であり、「積極的平和主義」はこの?略における基本理念と明示され、一躍注目を浴びることになった。?家安全保障?略は、同年
12月17日
に、
第二次世界大?
後初めてとなる?家?略(
大?略
)として、?家安全保障?議及び
第2次安倍?閣
の
閣議
で決定された。
解?
[
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]
第2次安倍?閣で用いられる「積極的平和主義」とは何かは、『?家安全保障?略』の第3頁に明示されている。
他方、現在、我が?を取り?く安全保障環境が一層?しさを?していることや、我が?が複?かつ重大な?家安全保障上の課題に直面していることに鑑みれば、?際協調主義の?点からも、より積極的な??が不可欠となっている。
我が?の平和と安全は我が?一?では確保できず、?際社?もまた、我が?がその?力にふさわしい形で、?際社?の平和と安定のため一層積極的な役割を果たすことを期待している。
これらを踏まえ、我が?は、今後の安全保障環境の下で、平和?家としての?みを引き?き堅持し、また、?際政治??の主要プレ?ヤ?として、
?際協調主義に基づく積極的平和主義
の立場から、
我が?の安全
及び
アジア太平洋地域の平和と安定
を?現しつつ、
?際社?の平和と安定及び繁?
の確保にこれまで以上に
積極的に寄?
していく。このことこそが、我が?が?げるべき
?家安全保障の基本理念
である。
? ?家安全保障?略 、第II章1節
諸外?の?家?略(?家安全保障?略)を?察すると策定の手順は?ね以下となっている
[10]
。
- 基本理念の設定
- ?益
の明確化
- ?家目標の明確化
- ?家政策の制定
- ?家?略の策定
この?家?略策定プロセスにおいて極めて重要な第一
フェ?ズ
に?たるのが、「基本理念の設定」である。その理念の
スロ?ガン
が積極的平和主義であり、
?家
がその維持と?展を?けるうえで理想としている社?、?家、世界?が定められた。『?家安全保障?略』の第II章に記された?容は、以下の通りである。
- 理想とする社?
- 理想とする海洋
- 理想とする?家
積極的平和主義は、上記のように?守防衛、非核三原則、軍縮、大量破?兵器不?散、?際平和協力活動などの平和?家の理想を引き?き追求する。同時に、?家、アジア太平洋地域及び?際社?の平和?安定?繁?を脅かす脅威に?し、?際協調主義に基づいて、
外交
、
防衛
を中心に
金融
管理、
通商
管理、
出入?管理
、
?疫
、
?療
、
防災
、
警察
、
食料
、
資源
?
エネルギ?
など?係?局を?合して?系的な政策を立案し??しようとする複合的理念である。
『?家安全保障?略』において、「
積極的平和主義
」の理念は「
?際協調主義に基づく
」という文言と必ずペアで用いられる?念であり、これにより
一?行動主義
的な運用の排除を行っている。
[
要出典
]
以上を踏まえて?益、?家目標、?家政策が決定され、それらを包括する?家安全保障?略が決定された。その第IV章で日本がとるべき?略的アプロ?チ(具?的?家政策)が明示されている。要旨は「?際協調主義に基づく積極的平和主義」の立場から、日米同盟を基本としつつ、その他の各?とも協力?係を?大?進化させ、外交政策及び防衛政策を中心とした?略的アプロ?チ(具?的?家政策)を提示している。他に?連する各政府機?を調整し?系的に指揮監督する?略的アプロ?チ(具?的?家政策)も提示している。例えば、
海洋
、
宇宙
、
サイバ?空間
等の?際
公共財
、
政府開?援助
、エネルギ?、食料等の?家安全保障に?連する分野である。
その?の防衛政策に?しては本?略を踏まえ、新たな
防衛計?の大綱
と新たな
中期防衛力整備計?
が2013年12月17日に?家安全保障?議及び閣議で策定された。今後、?備を最新なものに更新すると共に、新たな脅威に適切に??できる組織改編を?施し、防衛力の質的向上への努力を行うとしている。
課題と論点
[
編集
]
「?家安全保障?略」では「日米同盟を基本としつつ、その他の各?とも協力?係を?大?進化させる」としているが、これについて、日米同盟の偏務性(非??な同盟?係)の問題や、??的に米?以外の?との?係の深化をどの程度まで進めるべきか、2?間協定と多?間協定のどちらを選?するのか、それらが
日本?憲法
が認める
自衛?
の範?を逸?するのか否かなどが、法曹界、一部の政?、メディアから課題や問題点として指摘され論点となっている
[11]
[12]
[13]
[14]
[15]
[16]
[17]
。
立憲デモクラシ?の?
において、
千葉眞
は積極的平和の曲解であり(
ジョ?ジ?オ?ウェル
の小?『
1984年
』に描かれる)「??は平和である」式の
ダブル?シンク
(二重思考)、あるいはダブル?ト?ク(二重語法)ではないかと批判した
[18]
。また、
平和?
の?威で積極的平和を提唱した提唱者
ヨハン?ガルトゥング
は
「私が1958年に考えだした『積極的平和(ポジティブピ?ス)』の?用で、本?の意味とは?逆だ」と主張している
[4]
。
英語表記では、ガルトゥングの積極的平和は「Positive Peace」なのに?し、積極的平和主義は「Proactive Contribution to Peace」で用いられている?語が異なり、
日本語
表記でも「主義」が付くか否かの違いがあるが、2015年(平成27年)9月4日の
?議院
特別委員?
において
岸田文雄
外務大臣
は、
安倍政?
の積極的平和主義について「貧困や搾取に??すべきであるという?点では、ガルトゥング博士の積極的平和と重なる部分は多い」と答弁している
[19]
。
脚注
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]
注?
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]
- ^
?田?剛「防衛官僚?久保卓也とその安全保障構想――その先見性と背景」
河野康子
?
渡?昭夫
編『安全保障政策と?後日本 1972~1994――記憶と記?の中の日米安保』(
千倉書房
、2016年)(pp.93)。
出典
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?考文?
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]
?連項目
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外部リンク
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]