持明院統 （じみょういんとう）とは、 鎌倉時代 後期から 南北朝時代 にかけて皇位に?いた 日本 の皇室の系統で、第88代 後嵯峨天皇 の皇子である第89代 後深草天皇 の子孫で、 大?寺統 に?比する。この持明院統が、のちの 北朝 に?がる。

名? [ 編集 ]

?守府?軍 藤原基? が邸?に持?堂を創設し、これを 持明院 と名づけ（邸宅は持明院殿と?される）、基?の子孫は持明院家と呼ばれるようになった。その邸宅を持明院家を外戚に持つ 後堀河天皇 を通じて 伏見上皇 が?承し ^[1] 、その子孫が持明院殿に住むようになる。これが、持明院統の名前の由?である。

?要 [ 編集 ]

成立 [ 編集 ]

後嵯峨天皇 は、息子の 後深草天皇 に?位し、後深草天皇が病にかかると、その弟の ?山天皇 が?位した。その後、?山天皇の皇子 世仁親王 が皇太子となった。しかし、皇位?承者を指名するべき 治天の君 である 後嵯峨上皇 は、鎌倉幕府に託す形ではっきりとした意思を?えないまま、崩御した ^[2] 。困惑した幕府は、後嵯峨院の中宮で、後深草上皇と?山天皇の母である 大宮院 に後嵯峨院の胸中を尋ね、それが?山天皇にあったと知らされると、?山天皇が治天の君となり、程なくして世仁に?位し（ 後宇多天皇 ）、?山は 院政 を開始する。
しかし、事?上の長男にあたるのに自身の子孫に皇位を?承できなくなって、不?を持った後深草上皇は、太上天皇?を返上し出家する意思を表明した ^[3] 。これに同情した幕府は、?山に?し後深草に配慮するように求め、後深草の皇子 熙仁親王 を皇太子にすることになり、皇太子となった熙仁は、 霜月?動 の余波を受けて?位した（ 伏見天皇 ） ^[4] 。その後、伏見の皇子 胤仁親王 までもが立太子すると（ 後伏見天皇 ）、?況は一?し、後深草の系統が有利となった。この後深草の系統を、持明院統という。
しかし、これに不?を持った?山上皇は出家し、その不?を幕府に訴えかけた。そして、伏見の側近である 京極?兼 が流罪になり伏見が胤仁に?位すると、今度は後宇多の皇子である邦治親王が皇太子となり、やがて?位した（ 後二?天皇 ） ^[5] 。?山の系統を 大?寺統 という。この際、持明院統側は、後伏見天皇にまだ皇子が誕生していないため、伏見上皇の皇子である 富仁親王 を皇太子とすることに成功した。これによって、持明院統と大?寺統がおおよそ交互に?位する、?統迭立がはじまった。（もっとも、?況によっては?統迭立とは言い難いところもあり、あくまで結果論的な呼?である）

分裂の危機 [ 編集 ]

かくして、皇位の奪還に成功した大?寺統であったが、?山上皇が後宇多天皇でなく、末子の 恒明親王 への皇位?承を望んだことで、大?寺統は2つに分裂した。なんとか自統から皇太子を立てた持明院統であったが、持明院統でも分裂の危機が生じていた。??的に、 後伏見上皇 と 富仁親王 の二つに、持明院統が分裂する可能性が生じた。そこで、家長である伏見は、富仁親王の立太子にあたって、富仁を後伏見の猶子とし、後伏見に??生まれる皇子を富仁の猶子とするように定めた ^[6] 。そしてその皇子が持明院統の正嫡として家督を?ぐように定め、もし富仁の子孫と後伏見の子孫が皇位?承を?うならば、富仁を義絶するとした ^[7] 。さらに、成長した花園は?問に秀でていたこともあって、伏見より後伏見の皇子を?育し扶助するよう命じられた ^[8] 。こうして、伏見は持明院統の分裂を防ごうとした。事?、大?寺統はその後3つ以上に分裂して皇位?承を?っているが、持明院統は結束を?り、後光?天皇の代までは分裂を防ぐことができた。また、大?寺統の分裂に?じて、自統を有利にしようとすることもあった ^[9] 。

北朝の成立 [ 編集 ]

後二?天皇が崩御した後、富仁が?位したが、この際に 後宇多上皇 の幕府への工作によって、大?寺統の 尊治親王 が皇太子となる。尊治が?位すると、大?寺統の邦良親王が皇太子となり、後宇多上皇、後醍?天皇（尊治）、邦良親王と、治天の君?天皇?皇太子がすべて大?寺統に占められてしまう。しかし、邦良親王が薨去すると、持明院統の量仁親王（後伏見の皇子）が皇太子となり、後醍?天皇が倒幕運動に失敗すると?位した。皇太子は、大?寺統で後二?天皇の孫である 木寺宮康仁親王 。

しかし、後醍?天皇が倒幕に成功すると、 光?天皇 （量仁）は?位され（特例として上皇となる）、 木寺宮康仁親王 は?太子のみならず親王?を?奪された。この際、後伏見上皇は出家し、光?らにも出家を?めたが、拒絶されている ^[10] 。 元弘 3年（ 1333年 ）、 後醍?天皇 による 建武の新政 により、一時は皇統が大?寺統の後醍?天皇流に統一されたかに見えたが、新政は2年半にして崩?する。

足利尊氏に院宣を?給して手を組み、建武の新政を崩?させ見事治天の君に返り?いた 光?上皇 は、足利尊氏の要請によって弟の 光明天皇 を?位させる。後醍?天皇は吉野に逃れ、皇位の回復を宣言し、 南北朝時代 が始まった。吉野の朝廷を 南朝 (日本) 、京にある持明院統の朝廷を 北朝 (日本) という。

もっとも、持明院統の朝廷である 北朝 が京都を制?したため、後醍?天皇流以外の大?寺統の皇族も北朝を支持するなど、北朝が終始優勢を誇った。

持明院統の分裂 [ 編集 ]

北朝の治天の君で持明院統の?主であった光?上皇は、かねてより本?持明院統の傍系にあたる 直仁親王 を持明院統の正嫡と定め、?に?位していた光?の第一皇子 崇光天皇 の 皇太弟 に定めた。しかし、 光?上皇 （治天の君）、 光明上皇 （上皇）、 崇光上皇 （?帝）、 直仁親王 （?太子）ら北朝の皇族は、 正平一統 の際、南朝軍に連行されてしまった。その後、室町幕府や?北朝の貴族らは、僧侶になる予定で 妙法院 に預けられていた崇光天皇の弟宮??仁王を?位させた。これが 後光?天皇 である。後光?天皇は、 三種の神器 も、?時の皇位?承法（慣習法）において必要であった「治天による??の詔宣」も欠いた?態での?位を余儀なくされた上、度?京都を侵攻した南朝軍によって 京都 を追われ、足利氏とともに 美濃 や 近江 を??する??をした。このため、後光?天皇の?威は失墜したが、足利氏は自分達と苦?を共にしてきた後光?天皇を重んじる姿勢を示した。
しかし、光?法皇や崇光上皇にとって本?は僧籍に入る予定であった後光?天皇の?位は想定外であり、更に直仁親王も出家してしまったため、 長講堂領 など持明院統相?の所領のほとんどを崇光上皇に?え、法皇は改めて崇光上皇を持明院統の正嫡とした ^[11] 。後光?天皇と光?法皇は不仲であったという ^[12] 。

光?法皇が崩御すると、後光?天皇は自己の子孫に皇位を?承させたいと願い、 室町幕府 にその意向を示した。 管領 として 足利義? を庇護していた 細川?之 は、幼少の?軍では判?が難しい事を口?として、天皇の聖?に?う意向を示した。これに?って後光?天皇は?子の 後円融天皇 に ?位 。これに崇光上皇は激しく反?して?弟や甥と?立した。ここに、伏見院以??主のもとに結束していた持明院統は、崇光天皇の 崇光院流皇統 、後光?天皇の 後光?院流皇統 の二つに分裂したのである。
更に11年後に後円融天皇は?子の 後小松天皇 に?位した。この際、?に成人していた義?はこれに同意し、後光?院流が皇位を?承することを支持する態度を示した。崇光上皇は失意のうちに崩じた。崇光院流の後?者で本?であれば??の皇太子に予定されていた ?仁親王 は、祖父の光?法皇から?えられていた持明院統相?の所領のほとんどを後小松天皇に奪われ、失意のうちに 出家 した。親王の子孫は、光?の配慮のおかげでなんとか?った 伏見御領 の「伏見殿」に住み、「伏見殿」や「 伏見宮 」と呼ばれるようになった。

崇光院流皇統の浮上 [ 編集 ]

南北朝は、足利義?によって、北朝のもとに統一され、足利義?の死後、後小松天皇は長男の ?光天皇 に皇位を?り院政を開始した。一方、伏見宮は?仁親王とその長男の 治仁王 が相次いで?して衰退の一途をたどっていた。ところが、?光天皇は病弱の上に子供に?まれず、儲君とした弟の 小川宮 も兄に先だって?した。後光?院流皇統には他に皇位を?承できる男性皇族が存在しなかったために、その?絶の可能性が高くなった。一方、南朝系の人?（ 後南朝 ）はこれを見越して皇位?承を求める動きを活?化させていった。
そして、 正長 元年7月6日になって遂に?光天皇が危篤に?った。後小松はかねてより伏見宮の 彦仁王 を後?者にしようと考えていたが ^[13] 、?軍 足利義? は7月13日貞成親王の皇子?彦仁王を秘かに保護した上で後小松上皇に今後の判?を委ねた。上皇は直ちに彦仁王を自己の猶子として皇位を?承させることを決?し、天皇の崩御を?た後の7月28日に彦仁王を自己の猶子として皇位に擁立した。これが 後花園天皇 である。貞成親王の時の失敗を繰り返さないため、?光天皇の生前にはこの計?は極秘に進められた。このため、新天皇は親王宣下も 立太子 もなく?位することとなった。貞成は、これを「幸運」として喜んだ ^[14] 。

分裂の余波 [ 編集 ]

新天皇の元でも後小松上皇が 院政 を行ったが、貞成親王との確執は?まらなかった。上皇はあくまでも後光?流皇統の??を意?して新天皇を崇光院流皇統?伏見宮とは無?係な自分の?子として扱おうとした。これに、新天皇の?位によって皇統が崇光院流皇統に復?したと考えた貞成親王は反?した。後小松上皇が崩御した際、後小松法皇の側近たちはこの遺詔に基づいて「?子」である後花園天皇が父である後小松法皇の喪に服する「 諒闇 」の儀式を行うべきと主張した。貞成ら一派は、諒闇の回避を主張し、激論がかわされたが、結局くじ引きをして決めることとなり、諒闇が?施されることとなった。

伏見宮の確立とその後 [ 編集 ]

後花園天皇は、伏見宮出身であったものの、後光?院流皇統の後?者であるという意識を持ち ^[15] 、父の貞成親王の反感を買った ^[16] 。文安2年（ 1445年 ）3月16日、貞常王の元服が行われた。ところが、同時に行われる?であった親王宣下が中止され、6月7日には「荒?」「云口」（すなわち?口）を理由として後小松法皇の側近であった ?橋兼? と 白川雅兼王 が追放されたのである。その?容は不明であるが、後花園天皇を貞成が退位させようとしているというものとも推測されている ^[15] 。この?動に?しては、皇統の崇光院流皇統への交代を成し遂げようとする伏見宮側と、後光?院流皇統を存?させようとする天皇側で、不協和音が生じていた影響とも考えられている ^[17] 。?動の後、6月27日に貞常王への親王宣下が行われた。
?いて文安4年3月になると、貞成親王への尊?が提案され、激しい議論が行われた。同年11月27日、貞成親王は後花園天皇から、「傍親（＝兄）」として 太上天皇 の尊?を贈られて ^[18] 、後に「後崇光院」と?されることとなった。また、後花園天皇の弟である貞常親王は父?貞成親王の崩御後に伏見宮を?承、後花園天皇より永代にわたって「伏見殿」を名?ることを許され、 世襲親王家 としての地位を認められることとなった。こうした二面性のある措置は、後花園が後光?院流皇統の存?と崇光院流皇統の?存を遂げるためであったとされる ^[19] 。
こうして伏見宮が確立。また、後花園天皇の子孫は今日までの皇室へと?がることとなり、持明院統は皇統を?占するようになった。

文化 [ 編集 ]

和歌 [ 編集 ]

持明院統では、伏見天皇が京極?兼とともに革新的な歌風を生み出して以降、 京極派 の 和歌 が詠まれるようになった ^[20] 。自らの心を自由な詞で表現するというのが特?である ^[20] 。伏見上皇のもと、京極?兼によって『 玉葉和歌集 』が編纂され、光?上皇は『 風雅和歌集 』を編纂しており、ともに高く評?されている。南北朝期も、北朝において京極派歌壇が活動していたが、後光?天皇が墨守的な歌風である 二?派 に切り替えたことで、初期の伏見宮家以外ではほとんど詠まれなくなった。

琵琶 [ 編集 ]

後深草が極めて以降、持明院統の正嫡は 琵琶 を極めるようになった。流派は「西流」であり、「楊?操」?「石上流泉」?「上原石上流泉」といった秘曲を受け、一人前になると最秘曲である「啄木」が?授されていたようである ^[21] 。琵琶は、伏見宮の家芸となる。

所領 [ 編集 ]

持明院統の所領としては、以下の所領群が?げられる。

• 長講堂領 - 最大180か所だったが、?永14年の目?では112か所。同目?によれば、米5384 石 、砂金100 ? 、?4274?、絹1216 疋 、?10000廷などの年貢が納められ、相?の?入であったと考えられる ^[22] 。
• 法金剛院領 - 詳細は不明であるが、これも相?な?入であったと考えられる ^[22] 。
• 室町院領 - 大?寺統との折半。75か所。 直仁親王 に渡った後、伏見宮に?承された。
• 熱田社領 - 25か所、526町8段110?、年貢1291 貫 文 ^[22] 。
• 播磨?衙領 - 年貢3000疋（30貫文） ^[22] 。

持明院統の天皇 [ 編集 ]

• 後深草天皇 （89代）
• 伏見天皇 （92代）
• 後伏見天皇 （93代）
• 花園天皇 （95代）
• 光?天皇 （北朝1代）
• 光明天皇 （北朝2代）
• 崇光天皇 （北朝3代）
• 後光?天皇 （北朝4代）
• 後円融天皇 （北朝5代）
• 後小松天皇 （100代?北朝6代）
• ?光天皇 （101代）
• 後花園天皇 （102代）

（持明院統は後花園天皇以降も皇統を?占し、現在の天皇に?がるため、?密にどこで?切れるということはない。）

系? [ 編集 ]

88 後嵯峨天皇

宗尊親王 （ 鎌倉?軍 6）

【 持明院統 】 89 後深草天皇

【 大?寺統 】 90 ?山天皇

惟康親王 （鎌倉?軍7）

92 伏見天皇

久明親王 （鎌倉?軍8）

91 後宇多天皇

恒明親王 〔 常盤井宮家 〕

93 後伏見天皇

95 花園天皇

守邦親王 （鎌倉?軍9）

94 後二?天皇

直仁親王

邦良親王

康仁親王 〔 木寺宮家 〕

【 持明院統 】 〔 北朝 〕

【 大?寺統 】 〔 南朝 〕

96 後醍?天皇

光?天皇 北1

光明天皇 北2

97 後村上天皇

崇光天皇 北3

後光?天皇 北4

98 長慶天皇

99 後?山天皇

惟成親王 〔 護聖院宮家 〕

(伏見宮)?仁親王 （初代伏見宮）

後円融天皇 北5

（不詳） 〔 玉川宮家 〕

小倉宮恒敦 〔 小倉宮家 〕

(伏見宮)貞成親王 （後崇光院）

100 後小松天皇 北6

102 後花園天皇

貞常親王 〔 伏見宮家 〕

101 ?光天皇

脚注 [ 編集 ]

?考文? [ 編集 ]

• 飯倉晴武 『地獄を二度も見た天皇 光?院』吉川弘文館〈?史文化ライブラリ?〉、2002,2015。 ISBN   4642055479 。  
• 今谷明 『室町の王? 足利義?の王?簒奪計? 』（ 中公新書 、1990年） ISBN 4-12-100978-9
• ?井?『室町時代の一皇族の生涯 『看聞日記』の世界 』（ 講談社?術文庫 、2002年） ISBN 4-06-159572-5
• 近藤成一 「?裏と院御所」（初出:五味文彦 編『都市の中世』（吉川弘文館、1992年）/所?:近藤『鎌倉時代政治構造の?究』（校倉書房、2016年） ISBN 978-4-7517-4650-9 ）
• 小川剛生 「伏見宮家の成立 -貞成親王と貞常親王-」（所?:松岡心平 編『看聞日記と中世文化』（森話社、2009年） ISBN 978-4-916087-94-2 ）
• 河?祥輔 ? 新田一? 『天皇と中世の武家』講談社〈天皇の?史４〉、2018年。 ISBN   9784062924849 。  
• 田村航 「伏見宮貞成親王の尊?宣下」『『史??誌』（127編11?）』2018年。  
• 野口? ? 長村祥知 ? 坂口太? 『公武政?の競合と協調』吉川弘文館〈京都の中世史（3）〉、2022年。  
• 秦野裕介 『?世の天皇―??の擾?から?仁の?まで』東京堂出版、2020年。 ISBN   9784490210354 。  
• 深津睦夫 『光?天皇　をさまらぬ世のための身ぞうれはしき』ミネルヴァ書房〈日本評?選〉、2014年。 ISBN   9784623070060 。  
• 村田正志 「後小松天皇の御遺詔」（初出:『?史?』47?48?（1944年2月）、所?:『村田正志著作集　第2??南北朝史論』（思文閣出版、1983年） ISBN 978-4-7842-0344-4 ）
• 松??『日記の家 中世?家の記?組織 』（ 吉川弘文館 、1997年） ISBN 4-642-02757-2

第七章 持明院統天皇家の分裂　p178～p201

• 久水俊和「改元と?事からみる皇統意識」（初出:『?史?』199?（2009年）、所?:『室町期の朝廷公事と公武?係』（岩田書院、2011年） ISBN 978-4-87294-705-2 ）

?連項目 [ 編集 ]

• 文保の和談
• 明?の和約
• 長講堂領