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大命降下

出典: フリ?百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』

大命降下 （たいめいこうか）とは、 天皇 が 元老 や重臣などの助言に基づき、 ?閣?理大臣 候補者に ?閣 の組織準備を命じること [1] [2] 。?閣制度?足から、 日本?憲法 施行前の期間を指して用いられる。

「大命降下」の?態 [ 編集 ]

明治憲法 には ?閣?理大臣 に?する規定はなく、 ?前 における?閣?理大臣の地位?職名は ?閣職? や ?閣官制 に基づくが、法的にはその任命手?に?する規定はなかった。建前の上では「統治?の?攬者」たる 天皇 が法的な規定にも臣下の意向にも制約されずに自らの意志で任命?を行使することになっていたが、それでは任命された?閣?理大臣に失策があった場合に、天皇が任命責任を追及されることになり、これを回避する必要があった一方、天皇が?閣?理大臣を任命するという形式も維持する必要があり、この矛盾を解決するため、試行錯誤の末、次の手?がほぼ確定した。

?任や死亡により?閣?理大臣職が空席となった場合、まず、政界事情に通じており、天皇が特別な信任を?えている 元? たち（のち 元老 と呼ばれるようになる人?）に適切な後任を推薦するよう命じる。これを「ご下問（ごかもん）」と?した。元老は合議してその時?の政治情勢により適切な候補者をひとりに絞りこんで天皇に答申する。天皇自身は一切の?討を加えず意見も付さずにそのまま候補者本人に?え、?閣?理大臣任命を予告したうえで組閣（必要な閣僚から就任の承諾を得ること）を命じる。元老の答申を「奏薦（そうせん）」と呼び、天皇が組閣を命じる行?を「大命降下」と?した。

この大命降下と後?首班奏薦の制度のもと、 超然?閣 にはじまり、 中間?閣 を?て、 政??閣 と??な形態の?閣が誕生することになった。しかし元老はその高?化と死去により次第にその人?を減らし、大正時代のうちには 西園寺公望 ただ一人となり、その西園寺も昭和には高?化して新たな後?首班奏薦方式が必要になった。昭和7年（1932年）には天皇が ?大臣 に諮問し、?大臣は主に首相の 前官?遇 者や ?密院 議長からなる「重臣」と呼ばれた人?と協議して候補者を絞りこんで奉答する態勢が整えられた [3] （ 重臣?議 。ただし元老の??が完全になくなることは西園寺の死去までなかった）。 昭和天皇 の篤い信任を得た?大臣 木?幸一 は、後?首班奏薦だけでなく、たとえば、 太平洋?? （ 大東??? ）での敗色が濃くなっていた 1944年 （昭和19年）に最早 死に? となっていた 東??閣 （ 東?英機 首相）を天皇の了解を得た上で ?閣??職 に追い?むなど、宮中に居ながら政界にも?い影響力をふるった。

この方式で成立した最後の?閣は、 連合?軍最高司令官?司令部 （GHQ/SCAP）による 占領下 の 1946年 （昭和21年）に成立した 第1次吉田?閣 （ 吉田茂 首相）である。このときの次期首相候補者の推薦は前首相の 幣原喜重? が??で行った。?大臣の職は敗?直後の 1945年 （昭和20年） 11月 にすでに?止されていた。

次代の 片山?閣 （ 片山哲 首相）からは、 日本?憲法 の規定に?い、 衆議院 と ?議院 の?院における ?閣?理大臣指名選? により ?閣?理大臣 が指名されたうえでその指名に基づいて天皇が首相を任命する（ 憲法第6?1項 ）形の 議院?閣制 が確立された。イギリスをはじめとする他の議院?閣制をとる?においては??第一?の?首が元首から首相に任命されるという憲法的慣行が存在するにすぎないことが多く、??の首班指名?を明確に認める日本?憲法は法的には比較的異例である。

複?名への大命降下 [ 編集 ]

政府の長 たる ?閣?理大臣 の定員は?然ながら1名であるが、組閣はさまざまな人間?係を?使する共同作業であり、ひとりのみで行うものではないため、??ではなく複?の人間に組閣が命じられることもあり得た。

?例は次の2例である。「?板?閣」のケ?スは、政???者である??の 憲政? がいまだ正式の?首職を設置していなかったことから、とりあえず 大?重信 と 板垣退助 の?名に組閣を命じ、首相を含め人事については憲政??での調整に委ねた 玉? 色の大命降下となった。大?末期の 小磯?閣 のケ?スは、現職の 朝鮮?督 から急遽首相に?じる 小磯?昭 の支持基盤が弱?で政治手腕も未知?であったことから、 海軍 部?で大きな?威を有し、自らも首相??者として重臣の一人であった 米?光政 によるサポ?トが意?されたものである。

「大命??」 [ 編集 ]

大命降下は、必ずしも事前に本人の承諾を得てから行われるわけではなかったので、大命を受けた候補者が組閣に着手せずにすぐに?退することもあった。大命の?退を?時の新聞用語で「大命??（たいめいはいじ）」と?した。

また、本人に務める意志があっても、閣僚が?わず、組閣に失敗して不本意な?退に追い?まれることもあった。特に、軍部が要望しない人物に大命が降下した場合、陸海軍?大臣職の成り手が得られずに組閣できない場合があった。 陸軍大臣 ? 海軍大臣 は 軍部大臣現役武官制 により候補者が限定されており、現役武官制が?止され予備役の?官を大臣に任命することができる時期であっても、最高幹部である陸軍の ?謀?長 や海軍の 軍令部?長 などの推薦なしに一本釣りで陸海軍大臣を任命することは事?上不可能だった。 1914年 （大正3年）の ?浦奎吾 の組閣失敗はその一例である。このような事態を?時「 流産 」と?した。

「大命??」の?例 [ 編集 ]

  • 1901年 （明治34年）： 井上馨 → 意中の ???一 大?大臣 が?現せず、支持基盤となるべき 立憲政友? も井上支持でまとまらなかったことから?退となった。
  • 1914年 （ 大正 0 3年）： ?川家達 → 候補者難により貴族院議長の?川に?て馬的に大命が降下したもので、早?に?退となった。
  • 1914年 （大正 0 3年）： ?浦奎吾 → 上記の?川に代わって大命が降下したが、軍備?張の確約を求めた海軍の要求を?浦が拒んだため、 海軍大臣 の推薦が得られず?退となった。
このとき?浦は新聞記者に向かって「大和田（老?の うなぎ 屋）の前を通っているようなもので、?いだけはするが、御膳立てはなかなか?ない」とぼやいたため、世人はこれを「 鰻香?閣 」と呼んで揶揄した。なお、?浦は10年後の 1924年 に再び大命降下を受け組閣に成功、「御膳」に無事ありついている（ ?浦?閣 ）。
ただそれはあくまで表向きのことで、?際の近衛の?意は、「元老西園寺のリベラリズム」や「親英米の外交方針」に不?を持っていたこと、また事件後に??された陸軍 皇道派 に思想的に共鳴していたことにあるとされている。
  • 1937年 （昭和12年）： 宇垣一成 → かつての「 宇垣軍縮 」への遺恨、さらには「宇垣軍縮級の大なたを振るえる?力者の首相就任」が警戒されたことから陸軍が組閣を妨害し、 陸軍大臣 が得られず?退となった。

首相選定方式の改革 [ 編集 ]

政治?者の 村井良太 は、 1924年 （大正13年）7月に 松方正義 が死去して元老が 西園寺公望 一人だけになり、元老という憲法上の機?でないものが首相選定を?っているという?況が?く批判されるようになってきたが、首相選定方式を改革する余地があったと指摘している [4] 。?際、 第二次護憲運動 の最中にも「政?の場合に於ける御下問範??張問題」として議論されていたという [5] 。これは 宮?大臣 牧野伸? の?案と推測され、1924年（大正13年）2月末?時、松方が危篤?態にあり、今後の首相選定方式はどうあるべきかを西園寺に相談しようとしたこと、「御下問範?」を?張することによって元老の候補者を用意しておこうという狙いがあったとみられる [6] 。

元老協議方式の再編 [7]
元老を新たに追加して、??通り、元老間での話し合いで次期首相を奏薦する。
元老の追加で制度的永?性を確保できるという利点があるが、正?性と機能性が漸次低下していくという問題を解決できず、また、新たに元老になる資格のある人物が?底しているという欠点がある。
首相指名方式
退任する首相が次期首相を奏薦する。?際、?閣制度?足?初に行われていた [8] 。
次期首相の指名を明治憲法第55?第1項で定められた?務大臣の輔弼責任ととらえられるので制度的永?性と正?性があるが、?派政治になるという欠点がある。
?際、?時の日本のように、?質的な 議院?閣制 とはいえ、下院が後?首相を指名するという明文規定がない イギリスの政治 では慣例として行われていることだが、?時の日本では天皇が「統治?の??者」として ?閣 および 議? から自立した存在の「大?君主」であることが求められていて、次期首相の選定?を天皇の手中に留保しておくことがぜひとも必要であった。政?政治の下での首相指名方式の定着は?民の選?で選出された議?政?の首領が事?上の君主?の行使者となる事態をもたらすからである [9] 。
?密院諮問方式
?密院 が次期首相候補を諮問し奉答させる。
明治憲法第56?にのっとって行われ、同院は最も?威のある諮問機?なので正?性があり、制度的永?性を確保できるという利点があるが、同院の保守性という欠点がある。
重臣協議方式
?密院議長、貴族院議長、衆議院議長、首相??者といった一定の資格者に諮問する。
??の元老協議方式に基づきつつ、諸外?にも例があり、元老を新たに追加する必要がなく、制度的永?性と正?性があるが、世論の支持を得られるかという疑問がある。
?大臣指名方式
?大臣 が次期首相を奏薦する。
?大臣府官制により常侍輔弼が定められていて、?派政治から距離を置くことができ、制度的永?性を確保できるという利点があるが、宮中府中の別といわれるように、?大臣は政治的判?をすべきではないという不文律があり、?大臣の席を巡って政治的陰謀が行われる可能性があるという欠点がある。

現?に西園寺が死去する?年前から導入された方式は重臣協議方式と?大臣指名方式の混合された形となった。重臣の協議を俗に 重臣?議 と?した。

語の使用 [ 編集 ]

日本史?界では?閣制度?足後間もない時期の記述においても「大命」「大命降下」という用語が用いられている [10] 。しかし同時代においては 伊藤博文 が初代?閣?理大臣に就任した頃からしばらくの間「大命降下」もしくは「大命」という用語はほぼ使われていなかった [11] 。これは?閣の組織が?理大臣候補者自身ではなく、いわゆる 元? らの協議で行われていたためである [12] 。 第2次松方?閣 ?足前ごろから、?閣?理大臣候補者に?して「?閣組織の勅命」が下される、またはそれに類似する用語が新聞報道等で用いられ始めた [12] 。 明治29年（ 1896年 ）9月12日の新聞『 日本 』の記事「準備松方?閣」において、「一昨日伯の??は無論大命を御受するに就ての準備なりし」という表現が見られるが、ほとんどの新聞記事では「大命」という語は用いられなかった [13] 。

明治30年（ 1897年 ）12月に 松方正義 が?意を申し出、明治31年（ 1898年 ）1月に 第3次伊藤?閣 が成立するが、この過程の報道で「?閣組織の大命」という表現が?く行われるようになった [14] 。明治34年（ 1901年 ）の 第1次桂?閣 組閣報道の頃には『 東京朝日新聞 』や『 東京日日新聞 』をのぞいてはほとんどが「大命」の語が主流となっていく [14] 。 大正 元年（ 1912年 ）の 第3次桂?閣 組閣時には「大命が降る」「大命降下」という用語が定着するようになった [15] 。

出典 [ 編集 ]

  1. ^ "大命降下" . デジタル大?泉 . コトバンク より 2021年12月15日?? 。
  2. ^ 佐?木雄一 2021 , p. 313.
  3. ^ 日本大百科全書(ニッポニカ)「重臣」
  4. ^ 『政??閣制の成立』 208頁。
  5. ^ 『政??閣制の成立』 210-212頁。
  6. ^ 『?年君主昭和天皇と元老西園寺』 180頁。
  7. ^ 『政??閣制の成立』 211頁。
  8. ^ 『政??閣制の成立』 209頁。
  9. ^ 『?年君主昭和天皇と元老西園寺』 192-193頁。
  10. ^ 佐?木雄一 2021 , p. 313-314.
  11. ^ 佐?木雄一 2021 , p. 314.
  12. ^ a b 佐?木雄一 2021 , p. 325-329.
  13. ^ 佐?木雄一 2021 , p. 329.
  14. ^ a b 佐?木雄一 2021 , p. 329-330.
  15. ^ 佐?木雄一 2021 , p. 333.

?考文? [ 編集 ]

  • 佐?木雄一「「大命降下」の成立と?閣の?容」『明治?院大?法??究』第110?、明治?院大?法??、2021年。  

?連項目 [ 編集 ]

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