回折格子

出典: フリ?百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
??用の超大型回折格子

回折格子 (かいせつこうし)とは、格子?のパタ?ンによる 回折 を利用して 干?縞 を作るために使用される 光? 素子の??。 グレ?ティング : diffraction grating )とも呼ばれる。格子パタ?ンは直線?の凹凸が マイクロメ?トル サイズの 周期 で平行に?んで構成されていることが多い。ただしその周期、材質やパタ?ン厚(凹凸の差厚)などは用途や使用する 波長 域によって適宜異なる。主に 物理 ? 化? 分野で 分光 素子として用いられるものの用途は一?には言えない。 回折格子による干?縞が見られる身近な例としては、 CD が?げられる。(後述)(ただしCDは、構造的に回折格子になっているものの、情報の?み取りに回折を利用しているわけではない)

?測衛星 チャンドラ のスペクトロメ?タ?に使用された回折格子

?要 [ 編集 ]

CDの?み取り面の格子?構造による分光現象

回折格子を用いて得られる?果としてわかりやすいものは、CDの?み取り面に太陽光や室?光を?てたときに虹色に輝いて見える現象である。これは プリズム に光を通したときに見られる現象と似てはいるが、プリズムでは光の 屈折 によって色が分離する( スペクトル が表れる)のに?し、回折格子では光の回折と 干? によってスペクトルが見えている。また、?一方向から光を入射しスクリ?ンにスペクトルを投影してみると、プリズムで?察されるスペクトルのパタ?ンは?に光の波長の順に?んだものであろうが、回折格子で?察されるものはそれを周期的にくり返したような形になるはずである [注? 1] 。この分光能力により理化?機器の スペクトロメ?タ? や光?用の モノクロメ?タ? の構成要素として回折格子が使われることが多い。

回折格子というと線が平行に走った?純な格子?のものを連想しやすく、以上の?明もそのようなものを想定して行ってきたが、パタ?ンの形、周期、?面形?は??であり、材質や製造法も場合によって異なる。また、回折の起こし方にも?種類ある。分光素子としてではなく、 イメ?ジング 分野で光の 位相 分布を?像化するために用いられることもあり、同?の分野で使用されている回折格子と類似の構造を持つ光?素子として ホログラム ゾ?ンプレ?ト X線?微鏡 で使用される 回折レンズ の一種)などがある [注? 2] 。また、加速された 中性子 のような波動性を持つ粒子( 物質波 )のための特殊な回折格子もある。

回折格子の?面の例の模式?。(A)はガラス板に溝を彫った場合など。(B)のブロックの模?の違いは屈折率の違いを表す。(C)は鋸?の各表面で反射が起こるタイプで、分光素子として主に用いられる。

モデルとしてよく?明される回折格子は光を通すブロックと遮蔽するブロックが交互に?んだものだが、光を遮蔽せずとも隣り合うブロックを通過する光どうしに一定の行路差(位相差)がつけば回折は起こる。そこで、凹凸により行路差をつけるタイプ、屈折率の違いによって行路差をつけるタイプ、鋸???面での反射により行路差をつけるタイプ( ブレ?ズ回折格子 )などがよく用いられる。また、光の一部を遮蔽してしまうと 光子 ?が減って損をするので、?際には上記3種のような光?度が減衰しない回折方式を採ることがほとんどである。

通常よく見られる回折格子は多?の直線が平行に?んだ1次元パタ?ンを持つものである。?用ではこのパタ?ンの回折格子が多くを占めるが、イメ?ジング分野で使用される回折レンズは同心円?のパタ?ンを有している。回折レンズは回折格子と同?の仕組を持ち、フレネル回折領域の干?縞をある一点(焦点)に生じさせることで レンズ の役割を果たす光?素子であり、そのために同心円?パタ?ンの間隔は中心から端に向かって徐?に小さくなっている。この他、原理的にはどのような2次元?形格子でも回折と干?を起こし得るし、ホログラムも回折格子の一種とみなせばそのパタ?ン形は無?にあると言える [注? 3]

形?による分類 [ 編集 ]

平面型
平面ガラス板にアルミニウムなどの金?を蒸着し、その面上に溝を刻んだものが平面型の回折格子である。平面型回折格子には、透過回折光を用いる透過型と、反射回折光を用いる反射型がある。
凹面型
球面形の凹面に溝を刻んだものが凹面型の回折格子である。凹面回折格子によって反射された光で回折が起こる。凹面型回折格子を分散型回折格子として用いる場合は、 ロ?ランド円 の上に入射スリットと?出器を配置させる。非球面のものとしては、 トロイダル面 楕円 の凹面回折格子がある。

光の散?方向による分類 [ 編集 ]

透過型
平面回折格子では、透明な材質の表面に等間隔の溝を刻線した回折格子を光が透過し、その透過光で回折現象が起こる。透過型の回折格子は、フィルタ?として用いられる。また回折現象として分かりやすいため?育分野では透過型の回折格子による?明が行われることが多い。分散型分光器として透過型回折格子が用いられることも無いわけではない [注? 4] が、反射型回折格子を用いる分光器の方がより一般的である。
反射型
回折格子によって反射された光による回折を利用したものを反射型回折格子という。一般的に用いられている回折格子の大半が、この反射型回折格子である。反射型および透過型回折格子は、溝の面の角度(ブレ?ズ角)を一定方向にそろえることで、特定の波長領域の回折光のエネルギ?を?めることができる。この溝の角度を制御した回折格子を ブレ?ズド回折格子 という。

製造法 [ 編集 ]

回折格子を身近なもので作ろうと思えば、だいたい1mm以下の周期でガラス板に溝を平行に刻んだり、透明シ?トに?い線を印刷したりすれば 可視光 用の回折格子として機能し得る。

機械刻線
機械的に ダイヤモンドカッタ? などで溝を刻線する方法。
リソグラフィ
工業製品としての回折格子は フォトリソグラフィ の技術を用いて量産されることが多い。
レプリカ回折格子
リソグラフィで作成したマスタ?と呼ばれる型からプラスチック製のレプリカを作成し、それをガラス板に貼り付けて アルミニウム などの金?を 蒸着 させる場合もある。
ホログラフィック回折格子
ホログラフィ によって感光性物質にパタ?ン形?を露光し、感光した部分の屈折率が?わることを利用して回折格子とする量産法もある。
その他
オ?ダ?メイドで作成される場合は電子線描?などの特殊な方法が採られることも多い。

原理 [ 編集 ]

電球 の光(多色光)を用いたときの-1次,0次,+1次干?縞。0次干?縞はすべての色成分が同じ位置で重なっているので電球の光と同色だが、-1次および+1次干?縞は各色成分により縞の形成される位置が異なるためスペクトル?になっている。
回折格子の?面と回折の模式?。入射光(?)が周期dの格子に?してαの角度で入射し、その一部がβ方向に回折していく?子を表す。
ピンクの部分はフレネル回折領域、?の部分はフラウンホ?ファ?回折領域を表す(高次の干?は略している)。

波動性のあるものなら回折するので、原理的にそのような?象向けの回折格子を作成することは可能である。ただし、物質との相互作用が小さい波動ほど回折格子の作成が難しくなる。例えばX線は可視光と比べて物質との相互作用の度合いが小さいため、回折格子の材質やパタ?ン厚の?件がより?しくなる。

分光をする場合の入射光は多色光だが、それを構成する異なる波長どうしの光は互いに干?し合うことはない。よって?一波長の光(?色光)の回折と干?現象だけ考えれば、多色光の場合はその重ね合わせで?明することができる [注? 5]

透過型回折格子の原理 [ 編集 ]

ここでは周期的に?んだ格子の開口部を光が透過して回折する場合について考える。回折格子に?して波面が平行な?色光を入射し、そこから十分離れた場所にスクリ?ン等を置いて格子から出てくる光を?測してみると、周期的な干?縞が現れる [注? 6] 。この縞のパタ?ン形?や周期は格子のそれに??したものになっており、直線の?んだ1次元パタ?ンの格子を用いた場合はやはり直線が?んだ1次元の干?縞となる [注? 7] 。干?縞を入射光の中心軸に近い方から0次、±1次、±2次...と順序づけていく(縞は ?? なので マイナス 符?も用いる)と、この各次?の干?縞はその縞ができている方向に回折してきた光の干?によって生じている。つまり、干?縞ができるポイントでは各開口部から出てきた光が?め合いの?件(等位相の波の重ね合い)を?たしている。この?件が?たされるためには、各開口部から出てきた光が波長の整?倍の行路差を持っていなければならない。そこで格子周期をd、波長をλ、入射角をα、出射角をβとすると整?nを用いて

と?め合いの?件を表すことができる。ここでnは前述の次?に??している。d、α、nが決まっている場合 [注? 8] 、この式より干?縞が生じている方向への出射角βを求めると

となり、波長λに依存していることがわかる。これが分光の起こる理由である。 また、格子-スクリ?ン間の距離をL、干?縞の周期をDとし、格子周期dに?しLが十分大きいとして近似を用いると

と表せ、干?縞の周期Dが格子周期dの逆?と格子-スクリ?ン間距離Lに比例することがわかる。よってL(>>d)の位置(フラウンホ?ファ?回折領域)にできる干?縞周期は、格子周期が小さく、?察場所が格子から離れているほど大きくなる傾向がある。

一方、Lがそれほど大きくない位置(フレネル回折領域)でも干?縞は生じているのだが、その干??件は以上の場合とは異なる。フレネル回折領域では異なる次?の光どうしが干?し合っており、Lを?えると干?縞のパタ?ンは?化する。干?縞の形自?は周期的なのだが、その周期はフラウンホ?ファ?回折領域の干?縞とは異なり格子周期dとほぼ同程度のサイズになる [注? 9]

?史 [ 編集 ]

初めて史?に登場する回折格子は 18世紀 のアメリカの 自然科? 者デビッド?リッテンハウス( David Rittenhouse )によって作られたもので、板の間に止めた2本の ネジ の間に?の毛を40本/cm間隔で平行になるように張り、その?の毛がパタ?ンの役割を果たすというものだった。

その後、これと同じ構造の回折格子が 19世紀 の物理?者 ヨゼフ?フォン?フラウンホ?ファ? によって金?細線を用いて製作され、多色光( ?色光 の?義語)がどのような波長の光から構成されているかを定量的に調べるための道具として紹介された [注? 10]

自然界の回折格子 [ 編集 ]

構造色 の一種で クモ の?が回折格子の役割を果たして虹色に見えている。

自然界における回折格子の例は非常に少ない。一般的に回折格子と間違われやすいものは 構造色 と呼ばれる クジャク の羽、?珠層、蝶の羽である。虹色に見えるのは大抵薄膜干?に?るところが大きく、これらの干?は鳥、昆?、花でしばしばみられる [1] 。回折は視角の?化に伴って全てのスペクトルを生じさせるが、薄膜干?は一部の?いスペクトルしか?測されない [2] 。通常、植物や動物の細胞構造は回折格子の?きをするには不規則な幾何構造をしている [3] 。しかし、自然界における回折格子は貝?の?角のように海中の無脊椎動物でみられ、 バ?ジェス頁岩の化石 でも?見された [4] [5]

脚注 [ 編集 ]

注? [ 編集 ]

  1. ^ ただしこれは回折格子のパタ?ンや周期性にもよる。
  2. ^ 分光の場合は フラウンホ?ファ?回折 を用いるが、イメ?ジングの場合は フレネル回折 を利用することが多い
  3. ^ 格子がどのような2次元パタ?ンでもフラウンホ?ファ?回折領域の干?縞の形はそのフ?リエ?換に相?するため、 光コンピュ?ティング の分野でフ?リエ?換を高速に行うための手法として?究されていた。また、ホログラムは再生?象となる物?から散?あるいは屈折された光がフレネル回折領域に作る干?縞そのものをパタ?ンとした回折格子である。ホログラムの再生過程ではこの干?縞から元の物?形?を光?的に再構成する。この場合、ホログラムへの記?が物?形?の フレネル?換 、その再生が逆フレネル?換に相?している。
  4. ^ 透過型回折格子を使用した分光器の例 Mini-spectrometer TG series C9404CA | Hamamatsu Photonics ”. 浜松ホトニクス . 2022年3月7日 ??。
  5. ^ ?際、 高等?校 の物理の ?科書 では回折格子を分光素子としては特に紹介せず、それによる?色光の回折と干?のみを扱うことが多い。
  6. ^ ?際に干?が起こるかどうかは入射光の コヒ?レンス によるが、ここでは入射光として光軸に垂直な平面?で位相の?った完全な?色光を?定しているので必ず干?が起こる。現?には?色光としてレ?ザ?光を用いることが多い。
  7. ^ ?? 的には、干?縞のパタ?ンは格子のパタ?ンの フ?リエ?換 に相?する
  8. ^ 分光ではn=1(またはn=-1)を用いることが多い。一般的にnの 絶?値 が大きくなるほど?度が弱くなる。
  9. ^ 格子サイズと光のコヒ?レンスが有限であること、またフラウンホ?ファ?回折による0次干?縞が?く現れることから、一般的にフレネル回折による干?縞はLが大きくなるにつれて判別できなくなる。
  10. ^ 右記の論文に彼らが作ったものと同?の回折格子の??が?載されている。 Greenslade, Thomas B., "Wire Diffraction Gratings," The Physics Teacher , February 2004. Volume 42 Issue 2, pp. 76-77.

出典 [ 編集 ]

  1. ^ Nature's palette: the science of plant color By David Webster Lee - University of Chicago Press 2007 Page 255-256
  2. ^ Nature's palette: the science of plant color By David Webster Lee - University of Chicago Press 2007 Page 255
  3. ^ Nature's palette: the science of plant color By David Webster Lee - University of Chicago Press 2007 Page 84
  4. ^ Nature's palette: the science of plant color By David Webster Lee - University of Chicago Press 2007 Page 41
  5. ^ http://www.nhm.ac.uk/about-us/news/2006/mar/news_7834.html

?考文? [ 編集 ]

?連項目 [ 編集 ]

外部リンク [ 編集 ]