|
この項目では、コウイカ目の一種
Sepia esculenta
について?明しています。コウイカ目の??としての
コウイカ
については「
コウイカ目
」をご?ください。
|
コウイカ
Sepia esculenta
(甲烏賊) は
十腕形上目
(
イカ
類)
コウイカ目
に?する
頭足類
の一種である。
日本
近海において最も普通のコウイカ類で
、水産上重要である
。他のコウイカ類と同?に
外套膜
に?まれた胴?の背側に、石灰質の
甲
を持つ。
和名
[
編集
]
越中
では
カイカ
と呼ばれる
。また、
ハリイカ
Sepia madokai
Adam,
1939
と混同され、本種も
ハリイカ
と呼ばれることがある
。逆にハリイカ
S. madokai
の方はコウイカモドキとも呼ばれる
。ハリイカは胴の先端に硬い甲?の針(
棘
)が突き出ているためだとされる
。その他、
スミイカ
(墨烏賊)や
マイカ
(?烏賊)と呼ばれることも多い
。「スミイカ」は墨袋(
墨汁?
)が?達しているためだとされる
。「マイカ」は混?で、その地域の主流のイカを意味しており
、地域により
スルメイカ
や
ケンサキイカ
、
シリヤケイカ
もこの名で呼ばれることがある。
河野 (1973)
では、「コウイカ」を「
胴の中に舟形をした骨があるイカ
の??」とし、本種を「マイカ(?烏賊)」、別名に甲があるため「甲イカ」としている
。また、東京では大型のものを
モンゴウ
(紋甲)と呼び、?西では
ホシイカ
(星烏賊)というとある
。現在は「
モンゴウイカ
」は
カミナリイカ
や
トラフコウイカ
、また輸入される
ヨ?ロッパコウイカ
の市場名だとされることが多い
。「ホシイカ」は灰褐色の背面に白色斑点が散在しているためであるという
。また
河野 (1973)
では「カミナリイカ」や「シリヤケ」、「シリクサリ」という地方もあるとする
が、現在これらは
カミナリイカ
Sepia lycidas
Gray
,
1849
および
シリヤケイカ
Sepiella japonica
Sasaki
,
1929
と別種に?てられており、混同されている。
分類
[
編集
]
十腕形上目
(
イカ
類)は?統的に、底生で甲を持つ
コウイカ類
(底生で甲は退化する
ダンゴイカ類
を分けることも多い)と遊泳性で石灰質の甲を持たない
ツツイカ類
に二分され、そのうちの前者に?している。また、コウイカ科は Voss (1977)、
Khromov
et al.
(1998)
、Young
et al.
(1998) などに基づけば、甲の形?等の形態形質により3
?
に分けられ
、うち最大の
コウイカ?
Sepia
に?している。コウイカ?はヨ?ロッパ近海に棲息している
ヨ?ロッパコウイカ
Sepia officinalis
Linnaeus
,
1758
を
タイプ種
とするが、最近の
分子系統
の結果ではヨ?ロッパコウイカは本種コウイカや
トラフコウイカ
Sepia pharaonis
Ehrenberg
,
1831
といった
アジア
に産するコウイカ類とは近?でなく、むしろ
シリヤケイカ
Sepiella japonica
Sasaki
,
1929
に近いことが判っており
、?は系統を反映しておらず未整理である。
また、?史的にコウイカ?は複?の??や種群に分けられてきた。Naef (1923) は本種をタイプ種に
Platysepia
?を設立したが、
Khromov
et al.
(1998)
はコウイカ?を6つの
種群
(
species complex
) に分け、本種をその中の
Acanthosepion
種群に置いた
。
?谷?田川?堀川 (1987)
や
?谷 (2015)
、
WoRMS
では、
Platysepia
??に置かれている。
Ortmannは
Sepia hoyley
Ortmann
,
1888
という種を設立したが、
Sasaki (1929)
によればこれは自身の所有している本種の若い標本と非常によく似ており、本種と同一種であると考えられる
。
原記載
[
編集
]
Hoyle (1885),
Annals and Magazine of Natural History
, 5,
16
, p. 188
にて、
Sepia esculenta
Hoyle
,
1885
として記載された
。タイプ産地は日本の
?浜
市場である
。
シンタイプ
が
ロンドン自然史博物館
にあり、1個?の雄(1889.4.24.69、外套長160
mm
)と1個?の雌(1889.4.24.70、外套長143 mm)である
。
類似種
[
編集
]
- ハリイカ
Sepia madokai
Adam,
1939
- ハリイカは本種と混同され、市場名において
コウイカ
と呼ばれることがある
。また、甲はともに卵形で
、同じ??である
Platysepia
に置かれることもある
。しかし、本種は
S. esculenta
に比べハリイカ
S. madokai
は?長約8 cm
(
センチメ?トル
)
と小さいうえ
、甲の?円錐がコウイカ
S. esculenta
では丸襟?に立つのに?し
、この種
S. madokai
では逆V字型になり
、?線面前?はコウイカ
S. esculenta
では逆V字型なのに?し
、この種
S. madokai
では逆U字型になる
。
- シャムコウイカ
Sepia brevimana
Steenstrup
,
1875
- シャムコウイカは本種と似ているが、本種
S. esculenta
は
?腕掌部
に10?16列の吸盤を持つのに?し、この種
S. brevimana
はそれがより少ないこと、?基底に沿って肉質突起がないこと、また?円錐が色付くことにより?別される
。
- ミナミハリイカ
Sepia elliptica
Hoyle
,
1885
- ミナミハリイカも本種
S. esculenta
と混同されるが、以下の点で識別できる
。
- 本種
S. esculenta
の
交接腕
は6列の縮小した吸盤に?いて5から6列の普通のサイズの吸盤を持つのに?し、ミナミハリイカ
S. elliptica
では基部に7から8列の普通サイズの吸盤、中間に7列の縮小した吸盤、そして
腕
末端に普通サイズの吸盤を持つ
。交接腕の吸盤の背側の2列は腹側の縮小した吸盤よりも小さく、縮小した吸盤は普通の吸盤よりほんの僅かに小さいのみである
。
- 本種
S. esculenta
では 背側と腹側の保護膜は?腕掌部の基部と接?しないが、この種
S. elliptica
では背側と腹側の保護膜は?腕掌部の基部と接?する
。
- 本種
S. esculenta
では甲の後方が鈍く丸まり、?線 (
striae
)は逆V字型で?円錐側肢は後方で厚くなる
。この種
S. elliptica
では張り出しはより薄く平たく、前方は尖って、
房錐
の後端を覆っている
。
- Duc (1978, 1993) はベトナムの近海でミナミハリイカ
S. elliptica
を報告したが、ミナミハリイカ
S. elliptica
はインド洋のみで見つかるため本種コウイカ
S. esculenta
の誤同定と推測される
。
形態
[
編集
]
外套長
は最大約18 cm、?重は約600 g
(
グラム
)
の中型のコウイカ類
。
外套膜
の?形は粗い
楕円形
で、後端は貝?の棘があるため、多少
円錐
形になる
。最大外套幅は背側
外套長
の半分よりも大きく、その位置は中心付近にある
。外套膜の腹?は僅かに?入し、背?は?く三角?に、外套長の1/7程度突出する
。?色は、外套背側には?褐色の??斑
(虎斑
)が?に走り、?色の小顆粒?突起がある
。?の基部に沿って銀?(白線
)が走る
。この銀?の?側に沿って?色くやや細長い突起が??的に?んでいる
。外套膜腹面は蒼白色であるが、?基底の銀?は腹面からも明らかに?察できる
。
?
は前端から? mm のところから始まり、外套側?の90%近くを覆う
。?後端は?葉間に僅かな間隔があく
。?幅は胴?の1/6?1/5(片葉幅は外套幅の約13%
)で、ほぼ等幅で後方にやや?がる
。
漏斗器
は普通の大きさで、第4腕の間の角度より僅かに小さく?がる
。背側の漏斗器は逆V字型で太く、腹側器は卵円形
。
漏斗軟骨器
は
豌豆
型で、前方はやや持ち上がっており、溝は深い。外套軟骨器は細い半月形
。
頭部は幅?く、外套膜の開口部分と同じくらいの幅であり
、外套幅(外套膜の最大幅)より?く、外套長の30%程度
。頭部背面から腕反口側に沿って淡紅色の?が走る
。?口膜には?に7個の吸盤のない突起があるが、雌では腹側の2個は完全に丸くなっている
。雌成?では、?口膜の腹側部分の突起は?著な卵形の
sperm pad
で、これは末端が滑らかで、基部は深く皺が寄り、1?の羽?の受精托 (
seminal receptacle
) がある
。
精莢
は長く、その長さは17 mm である
。
腕
[
編集
]
十腕類の名の通り、コウイカの
腕
は10本あるが、うち2本(1?)は
?腕
と呼ばれ、ポケットの中に完全に?納することができる
。?腕は他の腕とは違って吸盤は先端の?腕掌部 (
tentacle club
)にしかなく、伸び縮みさせることができる。?りの腕を、甲のある背側の中心の1?から順に、第1腕 (Ⅰ)、第2腕 (Ⅱ)、第3腕 (Ⅲ)、そして腹側の1?を第4腕 (Ⅳ) と呼ぶ
。
腕の長さはほぼ等長で、
腕長式
はⅣ>Ⅰ>Ⅲ>ⅡまたはⅣ>Ⅰ>Ⅱ>Ⅲである
。最長の第4腕は背側外套長の半分の長さ(50%)程度
。反口側の英膜が第1腕から第4腕に向かって次第に?著になるため、特に第3腕?第4腕は反口側の表面に沿って?著に張り出し、扁平になっている
。保護膜は?達は普通で肉柱は弱?しい
。腕の吸盤は、先端から基部まで明確に4?列 (
quadserial
)で、ほぼ一?だが、末端に向かうにつれほんの少しずつ小さくなる
。また、第1腕?第2腕の吸盤は35?40列、第3腕?第4腕では60?65列ある
。傘膜の?達は?く、第4腕を除く腕の?側から4?6列目の吸盤まで展開している
。
?腕
の長さは??であるが、?態の良い標本では普通頭部と胴?を合わせた長さ程度である
。?腕柄は腕より少し細く、反口側は丸く、口側は平らである
。?腕泳膜は?い
。?腕掌部は平たく、外形は三日月形または半月形に?がり、?腕の約1/8を占める
。?腕掌部の
吸盤
は12列(10?16列
)で特に大きい吸盤はなく、微小等大で約200個ある
。Sasaki (1929)では、?腕掌部の吸盤は一見?10列に見えるが、斜めに16列?んでいるとしている
。
雄の左第4腕は
交接腕
化し、これは
?
の典型である
。交接腕化の影響があるのは末端よりも基部(頭側)に近く、基部寄りの4?5列目までは正常で、?く6列の吸盤が縮小している
。特に6列目と7列目の吸盤は幾分か小さくなる程度で、8列目以降の4列の吸盤が交接腕化した部分で
痕跡器官
となり、これより末端は正常に?る
。
?谷 (2017)
では腕吸盤の
角質環
に30?40の小?があり、?腕掌部吸盤の角質環はほぼ平滑となるとある
。
Sasaki (1929)
では基部付近の角質環は全ての?で無?の細い面取りされた小?が互いにきつく癒合しているため、先端の?の外形はでこぼこしている
。末端の吸盤では小?は角質環の?で互いに分かれているが、基部の?では未だ癒合したままであることも多い
。これらの吸盤の分かれた末端の小?は10?20個あり、延長する
。?腕の角質環は?に沿って鋸??になり、30?40の小?が?えられ、小?の間の間隔程度に鈍いとある
。
稀に腕が分岐する
奇形
の報告がある。
1929年
6月22日
、動物??室の?生 (Ichizo Asami) により?見され、
東京帝?大?
動物??室博物館に持ち?まれ
岡田要
によって報告された本種の右第4腕は2度分岐し、3本となっていた
[20]
。
甲
[
編集
]
コウイカの
甲
(
sepion, cuttlebone
)は貝? (
shell
)とも呼ばれ、主に
炭酸カルシウム
からなっている
。本種の甲は幅?く、貝?長(背側外套長と同じ)の1/3-2/5の幅であり
、形は卵形(長楕円形
)で極めて薄い
。背側表面は後方ではア?チ?で、前方では平らになり、裸?を除き、何本もの集中した線?に?んだ多?の顆粒に覆われている
。また背側表面には 3本の弱い肋がある
。?線面と終室の境界は逆V字型に近く、
外円錐
の後方は僅かに?がる
。
?円錐
は全?の1/4のところから始まり、後端は前方に張り出して?い丸襟?になる
。エゾハリイカ??
Doratosepion
とは異なり、?円錐と外円錐は癒着する
。室率は30で、佐?木 (1910) は室率に大きな?異があることを認めている
。
??
[
編集
]
本種の消化管は
口球
の後方に、食道、胃、胃盲?、消化腺、腸、そして肛門と?く
。
食道
は?を貫通し、??の中央部まで伸びる
。
胃
は大きく膨らみ、その左側に胃本?よりも大きく、ほぼ一?きの
螺旋
を描いている
胃盲?
がある
。胃は、その前にあり1?の左右相?な
消化腺
と細長い管で連結し、管周?には
消化腺付??
が?達する
。本種の
腸
は?純で細く、1度?れた後に前方に伸び、外套膜?に開口する
肛門
で終わっている
。
生態
[
編集
]
本種は通常、水深 10?100 m 程度の砂泥質の海底近くに棲息している
。
本種の?命は1年と考えられている
[24]
。7月に孵化した個?は孵化後約100日で貝?長5?10 cm、孵化後約200日で貝?長10?15 cm となり、その後の成長は著しく鈍くなるといわれている
[24]
。
底生の本種は
エビ
や
カニ
、小魚を好んで食べる
。普段は腕を?え、
流線型
をしているが、餌を見るときは腕を下に下げ、?眼で
立?的視野
を得る。そして?を餌に?し?っ直ぐに向けるアテンション (
attention
) という行動をとり、適切な距離に近づくポジショニング (
positioning
) し、それから?手を伸ばして狩る(アタック,
attack
)
。獲物の注意を引き付けるため、第1腕を昆?やエビの?角のように伸ばすこともある
。餌の捕食を視?に?るため、ガラス容器に餌を入れても同?の行動をするが、?射した?腕がガラスに衝突して痛むため、このエサは取れないということを
?習
する
。
生殖
[
編集
]
他のコウイカ類同?に本種は産卵?
交接
に先立って
ディスプレイ
をすることが知られている
[24]
。雄は第1腕を高く?げ、雌に接近する
[24]
。このときは外套膜背側の??斑や?基部の白線が鮮明となる
[24]
。?谷 (1979) に?れば、このディスプレイの目的は主に競?者の雄に?しての示威行?と考えられ、水槽中に1個?だけ?容された場合はこのような行動は見られない
[24]
。
交接姿勢は雌雄が人間が?手の指を組み合わせたように腕を組み合わせる
[24]
。交接行動はその?勢を保ったまま約5分間?き、交接開始後約1分半後雄は雌に精子を受け渡す
。交接により渡された精子は??に詰められた?態でポケットに付着し、活性が保たれる
。産卵は交接後ただちに開始される
[24]
。本種は早春から初夏にかけ、
??
などの沿岸に寄り、
島嶼
付近の岩石や
海藻
、
沈木
、
ソフトコ?ラル
、
漁網
などに産卵する
[24]
。卵は1粒ずつ生み出される
。外套長12?15 cm の韓?産の個?では、産卵?は2,000?2,500粒である
[24]
。親イカは産んだ卵に砂を吹き付けて、
カモフラ?ジュ
する行動が見られる
。
精子競?
[
編集
]
コウイカ類では、雄の
精子
塊を受け取る雌のポケットは?口膜にある
。
ツツイカ類
は2ヶ所の精子受け渡し場所があるが、コウイカ類では遊泳力がやや弱いせいか1ヶ所のみである
。複?の雄が雌の口の下に精子を渡すため、
精子競?
が激しい
。すでに多くの精子を蓄えている雌と交接し自分の子孫を?すため、コウイカの雄は他の雄が付着させた精子を自分の精子と入れ替える
精子置換
という行動を進化させている
。雄は交接相手の雌の?口膜に前に交接した精子塊があると、それを腕の反口側にある吸盤の角質環でひっかき落とす
。本種では30秒から1分半程度かかって精子塊を?き出す
。受精は未受精卵が漏斗を通って腕の中に運ばれた後に口の周?で起こるため、雄は受精場所に?に存在する他の雄の精子を除去することで精子競?を緩和させていると考えられる
。
寄生?
[
編集
]
本種の
腎?
?には以下の5種の
ニハイチュウ
類が寄生している
[29]
。ニハイチュウは底生の
頭足類
(特に
タコ
類とコウイカ類)の腎?に取り付き、
寄生
生活を行っている動物である
[30]
[31]
。ニハイチュウによる寄生の有無で、宿主のコウイカの形態上の違いは見受けられないため、宿主はニハイチュウの寄生による害を被っていないと考えられる
[31]
。また、逆にそれによりコウイカが利益を得ているわけでもないようであるため、ニハイチュウは頭足類に?し
片利共生
の?係にあると考えられる
[31]
。
また、
イカ
に寄生する寄生?として代表的なものに、
線形動物
の
回?
類である
アニサキス
Anisakis
spp.が?げられる
[32]
。極めて多種類のイカが感染源となることが知られているが、定着性の魚介類ではアニサキス幼?の寄生は少ないことが知られており
[32]
、
東京都福祉保健局
の東京都健康安全?究センタ?による調査 (2012.4?2017.3)では、コウイカ15個?中からアニサキスは?見されなかった
[33]
。しかし、Choi
et al
. (2011)の?究では、寄生率が最低としながらも、
釜山
の市場で得られた本種36個?中3個?(8.3%)で
Anisakis simplex
(
Rudolphi
,
1809
)の寄生が確認されており
[34]
、生食により感染の危?性はある。
?生
[
編集
]
産卵直後の
卵?
は
ゼラチン
?で、大きさは15?21 mm×12?14 mm(卵?は4.28?4.99 mm×3.21?3.56 mm)、半透明乳灰色をしている
[24]
。産み付けられた卵?は時間の?過と共に8×7 mm 程度に小さくなって?力を生じ、その表面に小砂粒や浮泥等を付着して泥褐色となる
[24]
。しかし、胚の?育に伴って卵?は再び大きくなり、孵化直前には短?9.2?11.2 mm の球形となる
[24]
。水?17.3?22.8℃において、産卵後孵化までの時間は29日から34日である
[24]
。
頭足類は
トロコフォア
や
ベリジャ?
にはならず、
直達?生
を行うため、孵化後は成?とほぼ同形の
幼生
となる
。孵化直後の個?は背側外套長は4.50?4.99 mm、外套幅は4.28?4.72 mm で、
腕長式
はⅣ>Ⅰ>Ⅲ=Ⅱである
[24]
。卵?は完全に吸?されている
[24]
。?は外套の左右?側においてその後端より80%の部分に亘って存在する
[24]
。背部は暗紫褐色~淡灰色で、?は淡くほとんど透明
[24]
。背側外套膜には濃褐色~暗褐色の色素粒があり、その前?にほぼ平行し6列約40個?ぶが、そのうち24個が特に?著である
[24]
。この色素粒は?大時に明瞭で、縮小時は不明瞭となる
[24]
。
胚盤
の?育中、ごく初期において眼とともに
外胚葉
の
?入
によって
平衡器
が形成される
。初めは?なる??であるが、胚の中央部に位置し外部よりも明瞭に透視できる非常に?著な器官である
。平衡器は孵化?初は多種でもほぼ同一の構造であるが、幼生期ではそれぞれ特有の構造を完成する
。
タコ
類では?部構造は?純で、
平衡石
付近に1個突起があるのみであるのに?し、本種では11個の突起を持つまでに成長する
。本種の外套長5 mm の幼生では
ミミイカ
Euprymna morsei
(
Verrill
,
1881
) と同じ6個しか突起を持たず、11個の突起は外套長21 mm になるころに持つようになる
。
分布
[
編集
]
日本
中部から
中?大陸
沿岸、
東南アジア
(
ベトナム
、
シンガポ?ル
、
フィリピン
から
インドネシア
)、そして
オ?ストラリア
北部にかけてまで分布している
。日本近海では、
?東
以西、
東シナ海
、
南シナ海
の陸棚、沿岸域に分布している
。南限はまだ正確に決まっていない
。
利用
[
編集
]
漁獲
[
編集
]
日本、
韓?
および
中?
において、水産上非常に重要であり
、中?の
山東省
や
江蘇省
から
西日本
までの
東シナ海
で水揚げされるコウイカ類の中で主要な位置を占める
。フィリピンでは、
ビサヤン海
や
サマ?ル海
、
リンガエン?
や
カリガラ?
(
Carigara bay
)などの海域で獲られ、地域漁業や自給漁業を支えている
。本種は??場にて、自然個?群の成長率を上回る速度で市場サイズになるまで育てられる
。
底曳網
、
?網
、
刺し網
、
いかかご
、
釣り
などで漁られる
。なかでもいかかご漁は、産卵期の大型個?を主?象とし、商品?値が高い上に、コウイカを選?的に漁獲するため、漁獲量も多く、
島原?
におけるコウイカの漁業では産業的に最も重要である
。
神奈川?
における
定置網
では?夏を除いてほぼ1年中漁獲され、4月がそのピ?クである
。
東?128度30分以西の
東シナ海
および
?海
で行われる、
以西底曳網
による近年の漁獲量は8,000?13,000 t
(
トン
)
である
[37]
。このうち年間漁獲量の約85%以上が10月から4月にかけての期間に、?りの15%以下がそれ以外の期間に獲られている
[37]
。漁獲量の少ない期間の前半、5月から6月は産卵期に?たり、その減少は産卵群が大陸沿岸域などの産卵場へ移動し、以西底曳網の操業域から去るためであると考えられる
[37]
。また、漁獲量の少ない期間の後半、7月から9月は産卵後に?たり、漁獲量の減少は産卵親個?が産卵を終え死亡し、またその年に生まれた個?群は9月頃まで????海域で成育し、それが加わらないためと考えられる
[37]
。韓?での水揚げにおける?究では 水?は10℃から15℃の範?で、海底の?分濃度が33.2‰から34.45‰の間で最も良い水揚げ?況だとされる
。
また、
タイランド?
では、
アミモンコウイカ
Sepia aculeata
d'Orbigny
,
1848
、
アジアコウイカ
Sepia recurvirostra
Steenstrup
,
1875
、
トラフコウイカ
Sepia pharaonis
Ehrenberg
,
1831
などとともに30,000 t 以上が水揚げされ、大量に日本に輸入されている
。
コウイカに限らずイカ類全?の水産資源の?化が懸念されており、日本における全漁法を合計したコウイカ年間漁獲量はピ?ク時に20,000 t を超えていたものの、2006年には7,000 t の水準まで落ち?んでいる
[39]
。水産資源保護を目的として、日本政府は
漁獲可能量制限
(TAC) および漁獲努力可能量制限 (TAE) の制度を導入している。しかし遊泳性のスルメイカが
1998年
からTACに、ヤリイカがTAEにそれぞれ指定されているものの、海底に棲息するコウイカ類はこれらの指定品目?象外となっており、漁獲規制はかかっていない
。
コウイカ漁獲減少の要因の一つとして考えられるのが、以西底曳網による漁獲?況である。東シナ海から?海にかけての底魚資源が?化したことに加え、多?の中?船との漁場競走が激化したことなどにより、ピ?ク期には約1,000隻あった日本の漁船?は
、2017年1月1日時点でわずか8隻まで減少している
[42]
。また、沖合では佐賀?から福岡?にまたがる
唐津?
がコウイカの漁場として重視されているが、1991年には全漁法合計で約400 t あった唐津?の漁獲高も、2007年以降は50 t 前後の低水準で推移している
[43]
。
食用
[
編集
]
肉は厚く美味で、
刺身
?
?司ネタ
や
煮物
、
??き
、
付?き
、
ウニ?き
など??に調理される
[37]
。小さいサイズのものは調理用に冷凍される
。4-5月頃が旬であるとされる
。
?用
[
編集
]
漢字でイカを表す
?
(?魚則、音:ソク、訓、いか)は
中???
(
本草
)では本種を含む
コウイカ?
Sepia
及び
シリヤケイカ?
Sepiella
に?てられる
[注 1]
。?い墨を吐くことから「烏?」と呼ばれるようになり、同音の「
烏賊
」に書き換えられたが、中?の民間?話では水面に浮かぶイカを死んだと思った
カラス
が?き取って食べてしまうことからカラスがイカの
天敵
と考え「烏賊」と呼ばれるようになったとされる
。また、中???では舟形の甲を
海??
と呼び、
生?
に用いられる
[45]
。
神農本草?
には、以下のようにある
[46]
。
烏賊魚骨味鹹微溫、主治女子漏下赤白經汁、血閉、陰蝕、腫痛、寒熱、??、無子。
(烏賊魚の骨は味は
鹹
にして微溫なり。
女子
漏下赤白經汁
、血閉、陰蝕、腫痛、
寒熱
、
??
、
無子
を治するを主る。)
?
神農
、神農本草?
また、素問(
?帝??
)?腹中論篇には、
血枯
の治療について、以下のようにある
[47]
。
以四烏?骨一?茹二物幷合之、丸以雀卵、大如小豆、以五丸爲後飯、飮以鮑魚汁、利腸中及傷肝也。
(四
烏?骨
と一
?茹
の二物を以て幷せて之に合し、丸するに
雀
卵を以てし、大なること小豆の如くす。五丸を以て後飯と爲し、飮するに
鮑魚
汁を以て、
腸
中及び傷
肝
を利するなり。)
?
岐伯
、
素問
?腹中論篇(第四十)
脚注
[
編集
]
注?
[
編集
]
- ^
加納 (2007)
では、「則」はイカが吸盤で餌を捕まえることから「くっつく」というイメ?ジにより名付けられたものであるとされる
。
出典
[
編集
]
- ^
Okada 1938
, pp.93?94
- ^
a
b
c
d
e
f
g
h
i
j
k
l
m
n
o
p
q
r
s
t
コウイカ/
Sepia (Platysepia) esculenta
(成長?生殖?卵?稚仔) - 西海?水産?究所
- ^
Furuya, Hidetaka
(2017). “Diversity and Morphological Adaptation of Dicyemids in Japan”. In
Masaharu Motokawa
;
Hiroshi, Kajihara
.
Species Diversity of Animals in Japan
. Springer. pp. 401?417.
doi
:
10.1007/978-4-431-56432-4
.
ISBN
9784431564300
.
ISSN
25095536
- ^
古屋秀隆
(1996). “ニハイチュウ(中生動物)の生物?”.
比較生理生化?
(日本比較生理生化??)
13
(3): 209?218.
- ^
a
b
c
古屋秀隆
(2010). “中生動物ニハイチュウの分類、系統、生活史”.
Jpn. J. Vet. Parasitol.
(
日本??寄生???
)
9
(1): 128?134.
- ^
a
b
?閣府
食品安全委員? (2014年12月9日). “
アニサキス症 (?要) ファクトシ?ト
”.
2019年11月27日
??。
- ^
東京都福祉保健局. “
魚種別アニサキス寄生?況について(平成24年4月から平成29年3月まで)
”.
2019年11月27日
??。
- ^
Choi, Seon Hee; Kim, Jung; Jo, Jin Ok; Cho, Min Kyung; Yu, Hak Sun; Cha, Hee Jae; Ock, Mee Sun (2011). “
Anisakis simplex
Larvae: Infection Status in Marine Fish and Cephalopods Purchased from the Cooperative Fish Market in Busan, Korea”.
Korean J Parasitol.
49
(1): 39?44.
doi
:
10.3347/kjp.2011.49.1.39
.
- ^
a
b
c
d
e
コウイカ/
Sepia (Platysepia) esculenta
(漁獲?利用)
.
http://snf.fra.affrc.go.jp/sakana/sakana_1/kou_ika_k/kou_ika_a_z/kou_ika/kou_data/kou_data4.html
2024年4月29日
??。
.
- ^
“
イカ統計情報 いか漁獲量
”. 全?いか加工業協同組合.
2019年12月2日
??。 “平成19(2007)年調査から、「こういか類」「その他のいか類」を統合し、「その他いか類」とした。”
- ^
“
沖合?以西底びき網漁業のデ?タブック
”. 一般社?法人 全?底曳網漁業連合? (2017年9月).
2019年12月2日
??。 “4頁目: ?4 許認可隻?の推移(各年1月1日現在)”
- ^
“
平成30年度資源評?調査報告書(資源動向調査)
” (PDF). ?立?究開?法人 水産?究??育機構 (水産?からの調査委託業務). p. 4.
2019年12月2日
??。 “?3 唐津?におけるコウイカ漁獲量の推移(全漁業種)”
- ^
“
海??
”.
中國醫藥大學
.
2020年4月12日
??。
- ^
“
神農本草經
”. 中國哲學書電子化計劃.
2020年4月12日
??。
- ^
“
?帝??
”. ???.
2020年4月12日
??。
?考文?
[
編集
]
- Food and Agriculture Organization of the United Nations
(2005). P. Jereb & C.F.E. Roper. ed.
Cephalopods of the World: An Annotated and Illustrated Catalogue of Cephalopod Species Known to Date Volume 1 Chambered Nautiluses and Sepioids (Nautilidae, Sepiidae, Sepiolidae, Sepiadariidae, Idiosepiidae and Spirulidae)
.
- Khromov, D. N.; Lu, C. C.; Guerra, A.; Dong, Zh.; Boletzky, S. v. (1998). “A Synopsis of Sepiidae Outside Australian Waters (Cephalopoda: Sepioidea)”.
Syestematics and Biogeography of Cephalopods
1
: 77-157.
- Kubodera, Tsunemi
;
Yamada, Kazuhiko
(2001). “Cephalopods Found in the Neritic Waters along Miura Peninsula, Central Japan”.
Memoirs of the National Science Museum
(37): 229?249.
- Norman, M. D.; Nabhitabhata, J.; Lu, C.C. (2016). “An updated checklist of the cephalopods of the South China Sea”.
Raffles Bulletin of Zoology
34
: 566?592.
- Okada, Yo K.
(1938). “An Occcurence of Branched Arms in the Decapod Cephalopod,
Sepia esculenta
Hoyle”.
Annot. Zool. Japan
17
(1): 93-94.
- Sasaki, Madoka
(1929),
A Monograph of the Dibranchiate Cephalopods of the Japanese and Adjacent Waters
, Sapporo: Coll. Agric. Hokkaido Imp. Univ.
- Yoshida, Masa-aki
;
Tsuneki, Kazuhiko
;
Furuya, Hidetaka
(2006). “Phylogeny of Selected Sepiidae (Mollusca, Cephalopoda) on 12S, 16S, and COI Sequences, with Comments on the Taxonomic Reliability of Several Morphological Characters”.
Zoological Science
23
(4): 341?351.
doi
:
10.2108/zsj.23.341
.
- 石川昌
著「頭足類」、
久米又三
?
團勝磨
編『無脊椎動物?生?』培風館、1957年9月30日、376?384頁。
- ?谷喬司
、
田川勝
、
堀川博史
『日本陸棚周?の頭足類 大陸棚斜面未利用資源精密調査』社?法人 日本水産資源保護協?、1987年、36?39頁。
- ?谷喬司
『イカはしゃべるし、空も飛ぶ』
講談社
〈講談社ブル?バックス〉、2009年8月20日、21?23, 35?37, 43, 50?52, 104, 132, 136, 141?142, 146?147, 183?185, 208頁。
ISBN
978-4-06-257650-5
。
- ?谷喬司
著「16章 イカに絡まれ半世紀―自?的イカ?究の?展と多?性―」、
?谷喬司
編『新鮮イカ?』
東海大?
出版?、2010年7月20日、331-358頁。
ISBN
978-4-486-01875-9
。
- ?谷喬司
『
新編 世界イカ類?鑑
』東海大?出版部、2015年1月20日、6?8, 55頁。
ISBN
9784486037347
。
http://www.zen-ika.com/zukan/pdf/cs004.pdf?idx=1
。
- ?谷喬司
『日本近海産貝類?鑑 第二版』東海大?出版部、2017年1月26日。
ISBN
978-4486019848
。
- 加納喜光
『動物の漢字語源?典』
東京堂出版
、2007年10月25日、214?215頁。
ISBN
978-4-490-10731-9
。
- 河野友美
『魚』
?珠書院
〈改訂食品事典3?〉、1973年、170頁。
(京都府海洋調査船”
平安丸
”竣工記念)
- 佐?木猛智
(2008). “軟?動物の解剖:コウイカ?サザエ?ホタテガイ”.
化石
(日本古生物??)
84
: 86?95.
- 水産年鑑編集委員?『水産年鑑 2016』水産社、2017年2月。
ISBN
978-4-915273-79-7
。
- 土屋光太?
、
山本典瑛
、
阿部秀樹
『イカ?タコガイドブック』
株式?社ティビ?エス?ブリタニカ
、2002年4月27日、22頁。
ISBN
4-484-02403-9
。
- 安田治三?
(1951). “コウイカ Sepia esculentaの生態の二?三に就いて”.
日本水?學會誌
16
(8): 350?356.
- 山口恭弘
;
山根猛
(1998). “島原?のコウイカ
Sepia esculenta
いかかご漁場における海底底質の影響”.
水産工? Fisheries Engineering
34
(3): 257?262.
- 和田年史
著「13章 イカの精子競?―より多くの子孫を?すための巧みな?術と行動―」、
?谷喬司
編『新鮮イカ?』
東海大?
出版?、2010年7月20日、280?296頁。
ISBN
978-4-486-01875-9
。
外部リンク
[
編集
]
?連項目
[
編集
]
ウィキメディア?コモンズには、
コウイカ
に?連するカテゴリがあります。