防波堤

防波堤 （ぼうはてい）は、外洋から打ち寄せる波を防ぐために海中に設置された構造物である。その目的は、波浪から港? の?部を安?に保つことや、津波や高潮の被害から陸域を守ること、あるいは海岸の侵食を防ぐことなどである。堤防と同?に細長い形?を持ち、港?を守るように陸域から海中に向かって、または海中に築造されている。

日本語の「防波堤」は、?密には、上述のとおり港?を守るための堤または津波を防御する堤を指す。一方、英語の「breakwater」は、港?だけでなく海岸を守る堤をも指す。日本語では、海岸を守る堤は離岸堤、消波堤と呼び、防波堤とは異なる機能?構造を持つ。しかし、一般的には英語と同?、海岸を守る離岸堤?消波堤も「防波堤」と呼?されることが多い。

本項では、離岸堤?消波堤を除く、港?を防御する防波堤について解?する。

?史

ウィリアム港の防波堤（スコットランド南西部）

船舶が停泊する港?は、波浪の?やかな場所が求められたが、古い時期は?海や入り江、岬の背後岸、前方を島に?まれた海岸など、波浪の少ない自然?件が備わった場所に港?が設定されていた。

そのうち、海上交易の?展に伴って船舶が大型化すると、自然?件に左右されない港?の立地が求められるようになった。古くから海上交通が?達していた地中海では、早くもロ?マ帝? 期に港?を守るための防波堤が築かれていた。皇帝セプティミウス?セウェルスがリビアのレプティス?マグナの港に建設した防波堤は、石材が整然と積み上げられており延長約500mにも及んだ。その他、ロ?マ近郊のオスティア港やパレスティナのセバストス港の防波堤は、コンクリ?ト製の基部を持つなど非常に堅固に造られた。

ロ?マ期以降、防波堤の技術は停?し、ながらく海中に石材を投下して防波堤を築く捨石（すていし）防波堤が造られる程度の?況が?いた。しかし、産業革命期に入ると、ヨ?ロッパで防波堤技術が急速な進?を見せ、捨石基礎の上にコンクリ?ト製の直立壁が置かれる近代的な混成堤が登場した。混成堤は、ヨ?ロッパから世界各地へ普及し、防波堤技術の主流となった。

直立壁式の混成堤は、?前と比べると高い堅固性をほこったが、それでも?波浪時にはしばしば崩?しており、さらなる改善が求められるようになった。防波堤技術が再度急速な進展を見せたのは、第二次世界大? 前後のアメリカにおいてである。ロバ?ト?Y?ハドソンを中心とする米陸軍局工兵隊水路試?所は、水理模型??を通じて安定した防波堤建設につながる技術を開?した。大?後は、直立壁に代わってケ?ソン（コンクリ?ト?鋼製の箱形構造物）を設置したケ?ソン混成堤が防波堤の主流となっていった。（日本でのケ?ソン（コンクリ?トの箱）を沈めてつくる本格的な防波堤工事は、大正８年（１９１９年）の鮫港修築工事が最初である ^[1]。）

防波堤の安定性は非常に高くなったが、波浪の持つ巨大なエネルギ?の前では防波堤が崩?する危?性は、僅かとはいえ存在しており、より高い安定性への追求が?けられた。 1960年代のカナダで導入された防波堤には、ケ?ソンに海水が通過できる穴が開けられており（消波ケ?ソン）、波浪エネルギ?の制御に大きな成果を?げ世界各地の?波浪地域で採用されている。 1970年代に日本で開?された半円形ケ?ソン防波堤も非常に高い安定性を示し、中?などで導入されている。その他、波浪に?する?究も進み、波浪のエネルギ?を?率的に分散する??な防波堤が?究?開?されている。さらには海底に水を注入して液?化させることにより、波浪を抑制する技術も?究されている（構造物によらない「見えない防波堤」）。

種類?構造

海の波力は非常に大きく、防波堤の無い?態では，波のエネルギ?が全て岸に打ち寄せることになる ^[2]。そこで防波堤を設置することにより，岸に打ち寄せる波のエネルギ?を弱め，水害の?生を抑えることができる。古くより防波堤が波浪によって破?される例は枚?にいとまがないほどであり、防波堤の?史は波浪との?いの?史でもあった。近代的な防波堤技術が開?されてから、防波堤が波浪に破?されることは少なくなったが、安定性の高いケ?ソン式防波堤であっても波力によってケ?ソンが移動ないし崩?する事例が?生しており、 2011年に?生した東日本大震災では、釜石市の沖合いに 2008年に建設された釜石港?口防波堤が津波で破?されている。

以下、防波堤の種類?構造を??する。

傾斜堤: ?メ?トル大の石材（捨石）やコンクリ?トブロックを海中へ投下し、台形上に成型したものをいう。台形斜面が波力を散逸させる。?統的な防波堤の形態であるが、現代でも石材が多く産出する地域や波浪があまり?くなく水深の?い港?などで採用されている。; 捨石によるものを 捨石式傾斜堤 、コンクリ?トブロックによるものを 捨ブロック式傾斜堤 と呼ぶ。
直立堤: 前面が鉛直となっている堤?を直接海底に設置するものをいう。?固な海底地盤を必要とするため、設置箇所は限定される。; 堤?がコンクリ?トブロックのものを コンクリ?トブロック式直立堤 、ケ?ソンによるものを ケ?ソン式直立堤 という。
混成堤: 台形上に成型された基礎捨石の上部に直立堤?を設置したものをいう。傾斜堤と直立堤を複合させた機能を持ち、安定性が高い。基礎部を大きくすれば傾斜堤的な機能が?まり、直立堤部を大きくすれば直立堤的な機能が?まり、波力に?じて多?な??をとることができる。; 直立堤部によって コンクリ?トブロック式混成堤 、 ケ?ソン式混成堤 などと呼ばれる。ケ?ソン式混成堤は、安定性の高さから例えば日本では防波堤の主流となっている。
消波ブロック被覆堤: 堤?前面に消波ブロックを配置すると、受ける波力を著しく?減することができる。傾斜堤?直立堤?混成堤にかかわらず、消波ブロックで覆った堤?を 消波ブロック被覆堤 と呼ぶ。

このほか、ケ?ソンの形?によって 消波ケ?ソン堤 （ケ?ソンに波浪を透過できる穴が開いており、堤?への波力を?減し、波浪を沈?させることのできる堤?）、 上部斜面ケ?ソン堤 （ケ?ソンの上部が傾斜し、波力を抑制できる堤?）、 半円形ケ?ソン堤 （堤?に反射して起こる反射波を抑制できる堤?）、 二重スリット型ケ?ソン堤 （円形ケ?ソン?部に二重の空間を有することで高い消波機能を持つ堤?）などがあり、今も新たな堤?の開?に向けた?究が進展している。

特殊な防波堤

安浦漁港の第二武智丸 ( ?島? ?市 )

福岡? 北九州市には除籍された ?日本海軍の艦船（ ?逐艦）を防波堤の基礎として用いている『 軍艦防波堤 』が存在する。合計三隻が基礎となり、?二隻は完全にコンクリ?トに埋?しているが、一隻は船?が露出している。長年風雨に?され崩?直前の?態だったが、近年補修され現在もその姿を止めている。

?島? ?市安浦漁港にはコンクリ?ト船、第二、第一武智丸が防波堤として利用されている。この船は 1944年 5月第二次大? の鋼材不足を補うため、帝?海軍舞鶴海軍工廠の技術中佐であった林邦雄によって設計され、大阪の土木?社武智昭次?によって兵庫? 高砂市の?田跡地の造船所にて建造されたもの。1944年から 1945年に掛けて使用された後、 1947年 ?時防波堤が無かった安浦漁港にて?用される。

遊漁の好適地

釣りでは釣り場や?象魚に特化して「堤防釣り」、「波止釣り」などのジャンルが確立されている。陸から延びる防波堤は他の釣り場に比べて足場が良いことや交通の便が良いこともあって、釣り入門者やファミリ?フィッシングに多用される。また渡船などで渡ることのできる沖の防波堤は、より多くの回遊魚に遭遇できるため釣りの良場として知られる。

但し、近年、津波?策の?に高層化する防波堤も?え、改修後は高さ１０mを超えるものも現れるなどかなり高層化し、海に落下した場合の救助も困難な物も?えている。この?、過去には釣りを許可していたところでも、禁止?域になるケ?スが?えている。